かわいく生きられない女たち Vol.7

親は弁護士・慶應幼稚舎出身の外銀勤務27歳お嬢さま。人には言えない、彼女が抱える秘密

腕をつかんでいるのは、健斗だった。


「いいの?恋人を放っておいて」

「彼女とは30分前に知り合ったばかりだよ」

「そっか。そもそも健斗には、長く付き合っている彼女いたもんね」

彼は一瞬きょとんとして、「あぁ…」と、興味のない様子で言った。

「彼女とは1年前に別れたよ」

その言葉に思わずドキっとしてしまう。

― 健斗への恋心には、決着をつけたと思ったんだけどな…。

その時、彼のスマホが鳴った。電話は東京オフィスのボスからで、戻ってこいというお達しだった。

「ボスから呼ばれちゃったから、オフィスに戻るね。まだ3分しか経ってないのに。ウルトラマンみたいだ」

「今のケースだと、ラピュタのムスカ大佐の方が合ってるかもね」

「『3分間待ってやる!』あのボスなら言いそうだなぁ、あのイエローのブルーライトカットメガネを見た?すごく冷たい感じのする黄色なんだ」

「似ている」

笑いながらそう伝えると、彼の目がきらきらと輝いた。

「瀬里奈、また後でここで会わない?クラブイベントがあるって、さっき聞いたんだ」

「いいね、じゃあまた後で」

また、すぐに会えるなんて期待しちゃうじゃん…。

彼を追うように、私もオフィスに戻った。


22時頃に仕事を終え、店で健斗と合流する。

DJの選曲は最高で、東京中の楽しい夜をぜんぶ集めたのかってくらい、盛り上がってた。

健斗のエスコートは完璧だったし、仕事終わりの体にアルコールと音楽は染みる。気がつくと彼は私の腰に手を回していた。

『生きててよかった!』と私がXの裏アカウントにポストしようしていると、彼が私のスマホを取り上げた。

「スマホの使い方、教えてあげる」

彼は私と顔を近づけ、ふたりのセルフィーを撮った。

「こう使うんだよ」と笑う彼に、私は嬉しくなる。

「ねえ、これXにポストしてもいい?」

「いいよ。僕はSNSをやってないから、好きにして」

テンション高いメッセージとともに、私はポストした。これが後に大事になるとは、思いもせずに。

この記事へのコメント

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No Name
瀬里奈
蟹しゃぶ食べたくなるような名前だね。 つまらなくてゴメンナサイ。
2024/11/14 05:1713返信1件
No Name
匿名で(裏アカ) ネットに愚痴書き込んで憂さ晴らししてる人もどうかと思う。それを中学の頃からずっとやってるって🤦🏼‍♀️ 結局他人のツイートに噛み付いたり中傷まがいな事書いたりしちゃってた? 健斗ママのXにも過去に書き込んでた。息子と2ショット写真載せてる女許せないと思ってたら、彼女だったのか?って、ありきたり展開な予感。
2024/11/14 05:5812
No Name
瀬里奈さん仕事を抜け出して飲酒ですかい?ww
彼女は社員証をかけてないって、あなたまさか堂々と社員証ぶら下げてバーで飲んで仕事に戻るの? 就業規則的にOKなん? にしてもハッピーアワーって、お金稼いでるんだし仕事さっさと終わらせてから飲んだ方がパフォーマンス上がるよと思っちゃった!
2024/11/14 09:0610返信2件
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