東京に点在する、いくつものバー。
そこはお酒を楽しむ場にとどまらず、都会で目まぐるしい日々をすごす人々にとっての、止まり木のような場所だ。
どんなバーにも共通しているのは、そこには人々のドラマがあるということ。
カクテルの数ほどある喜怒哀楽のドラマを、グラスに満たしてお届けします──。
▶前回:10月になると思い出す元カノ。年上女に恋した42歳男が、独身を貫き通しているワケ
Vol.14 <マティーニ> 佐藤至(いたる)(36)の場合
夜が、好きだ。
バーカウンターの中に立ちながら至(いたる)は、改めてそう感じた。
コンテンポラリージャズの流れる、静謐(せいひつ)な空間。
磨き上げた木製カウンターでちらほらと交わされる、密やかな会話。
カウンターには様々な形のグラスが並んでいて、そのグラスの......
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この記事へのコメント
夜が、好きだ。
からの文章すごいいいなぁと思いました。タイトルである「マティーニのほかにも」で締めくくるなんて素晴らしい。 またこのライターさんの小説を読みたいので楽しみにしています。