東京に点在する、いくつものバー。
そこはお酒を楽しむ場にとどまらず、都会で目まぐるしい日々をすごす人々にとっての、止まり木のような場所だ。
どんなバーにも共通しているのは、そこには人々のドラマがあるということ。
カクテルの数ほどある喜怒哀楽のドラマを、グラスに満たしてお届けします──。
▶前回:「好きになっちゃった…」22歳・東大女子が初めて恋に落ちたのは、意外な相手で…
Vol.13 <マルガリータ> 小平諒(42)の場合
マホガニー製のバーカウンターを念入りに拭き上げた諒は、冷凍庫から氷の塊を取り出した。
ひんやりとした冷気をまとう氷塊は、諒が日頃使っている、コーヒーチェーンのマグカップほどの大きさがあるだろうか。
諒は、無骨に大きいその氷塊をしっかりと押さえつけると、アイスピックで小さく......
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この記事へのコメント
何よりも泣けた。大事な人をある日突然失うのは本当に辛い事だよねぇ。15年も引きずってきた気持ちが少し楽になり、前に進めそうで良かったよ。この連載本当好き。