2024.06.28
表紙カレンダー Vol.116福岡県から上京して早10年。役柄が憑依したかのような演技で売れっ子になった、女優の奈緒さん。
今年は、木梨憲武さんとダブル主演を務めた『春になったら』や、映画『陰陽師0』などの出演作が話題に。
旅先でひとり中華を楽しんだこともあるほどだという彼女を、人気のモダン中華にお連れした。
そこで語られた、女優として10年を経たいま感じる芝居の面白さとは?
30代、新たなスタートラインに立った奈緒の女優論
カメラの前で食欲旺盛な一面を明かした女優の奈緒さん。食事シーンを撮られる時に意識したことを訊ねてみると、次のような答えが返ってきた。
「私は感情が顔に出やすいタイプで、美味しいものを口にするとつい目をつぶってしまうのですが、今回のスチール撮影では、そうならないように気を付けました。
ちなみに、台本に流れがあるドラマや映画の現場では、例え心を動かされるような美味に出合ったとしても、必要がない限り、表現しすぎないようにしています」
役者として当然のことを述べたに過ぎないのかもしれないが、その話しぶりは実に丁寧で、一つひとつの仕事と誠実に向き合う様子が窺える。
奈緒の心に残る出演作、そこで見た共演者のある芝居とは?
昨年は禁断の恋愛ドラマ『あなたがしてくれなくても』で説得力のある演技を披露。今年は木梨憲武さんとダブル主演を務めた『春になったら』や、映画『陰陽師0』など出演作が途切れない奈緒さんだが、引く手数多の売れっ子になるのも当然だ。
聞けば仕事を選ぶ時は、未知の要素に惹かれるらしい。
「新しい役柄に挑戦して、新しい自分に出会いたい。時には私でいいのか心配にもなりますが、ひとりの考えには限界があるし、そういう私をクリエイターの方々が見たいと思ってくださるなら身を委ねることにしています」
そう話す奈緒さんの心に残る出演作の一つが、前述の『春になったら』。この現場で彼女は芝居の原点に返った。
「台本をはみ出してしまうほど自由でピュアなノリさんの芝居に感銘を受けました。例えば、私が演じる瞳とノリさん演じる父親の雅彦が腕を組んでバージンロードを歩くシーン。
ノリさんがどんな表情をしているのか本番前のテストで確認すると、目が物凄く潤んでいて、カットの声がかかった瞬間、泣き出してしまったんです。娘の腕を解いて新婦を新郎に託すのがノリさんにとって耐え難いことだったとか。
その場で起こっていることに素直に反応するのは、芝居の目指すところ。嘘のない芝居を目の前で見せていただき、役者としての自分の今後に希望が持てました。
すごくいい30代のスタートラインに立てた実感があります」
それを聞いて思う。本誌の撮影でカメラと向き合う奈緒さんにも嘘が感じられなかった。
合間にお店の方と趣味の器の話で盛り上がるなどしてその場に溶け込み、自然な表情を繰り出していた。
当の本人は「意識してやっているわけじゃない。なんでも楽しんでやる方が身になると思っているだけ」と言ったが、そうした些細なことの積み重ねが、彼女の演技に安定感とリアリティをもたらしているのだろう。
表現には正解がないから難しい。分からないからこそ、惹かれ続ける
ふと聞いてみたくなった。女優として10年を経たいま、芝居のどんなところに面白さを見出しているのか。
「人間臭いところでしょうか。エンターテインメントは衣食住に関わりませんが、衣食住をはみ出るものこそが心の渇きに栄養を与え、人が明日を生きる理由になりえると思います。
私自身、これまでエンタメに救われたことが幾度となくありました。表現には正解がないから難しく、迷って悩んで泣けてくる時もありますが、だからこそ続けたい。分からないからこそ、惹かれ続けるのだと思います」
役者を辞めたいと思ったことは一度もない。ただ、演じることを好きでい続けるにはどうしたらいいか、この数年、よく考えるようになったという。
確かに若い頃は純粋に「好き」という気持ちだけで突っ走れるものだが、年齢を重ねるとそうはいかなくなる。
「30代は自由な10年にしたい」と奈緒さんは言った。「10代、20代の時とは違う自由さが30代にはあるのではないか。自分なりの自由なスタイルを見つけたい」と続けた。
奈緒さんの目は真っ直ぐ前を向いていた。こちらを見てはいるのだが、もっと先を見つめているようでもあった。
その希望に満ちた眼差しに触れ、彼女の演技がこれからも多くの人の行く先を照らす光になると確信した。
■プロフィール
奈緒 1995年生まれ。福岡県出身。NHK連続テレビ小説『半分、青い。』でヒロインの親友役に抜擢されて注目を浴びる。映画『陰陽師0』『告白 コンフェッション』が公開中。WOWOW『演じ屋 Re:act』が放送・配信中。また映画『白い嘘』が7月5日に、『傲慢と善良』が9月27日に公開予定。
■衣装
メッシュトップス¥15,400、キャミワンピース¥36,300〈ともにハイク/ボウルズ TEL:03-3719-1239〉、ブレスレット¥537,900、イヤリング¥634,700〈ともにレポシ/レポシ日本橋三越本店 TEL:03-6262-6677〉、バッグ¥572,000〈ヴァレクストラ/ヴァレクストラ ジャパン TEL:03-5615-2379〉
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