2024.03.10
表紙カレンダー Vol.110昨年6月に第3子を出産し、母としても忙しい日々を送る女優の上戸 彩さんを誘って、横浜随一の人気を誇るイタリア料理店へ。
「横浜はドラマや映画のロケでも訪れた思い出の多い地」と話す彼女に、仕事と子育てを両立し続ける自身の現在地を語ってもらった。
女優デビュー24年目。上戸 彩が仕事を続けて良かったと思う理由
「横浜の印象?そうですね……まず旦那さんが横浜育ちなんですよ。ドラマのロケでもよく来ました。
たとえば『エースをねらえ!』『流れ星』。それから『昼顔』の映画版では桜木町の駅前で撮影しましたっけ。紗和が部屋着のまま北野(斎藤 工)を尾行するシーンです。懐かしい!」
上戸さんが本誌に登場するのは5年ぶりのこと。その年月を感じさせないほど、目の前の彼女は明るくて親しみやすく、自然体だった。
昨年6月に第3子を出産したことが記憶に新しいが、どうやら年末に卒乳したらしい。心置きなく飲めるようになった状況に触れると、今度は顔をパッと輝かせた。
「めちゃめちゃ嬉しいです!いつ卒乳しようかなと思いつつ、母乳育児も大事にしたくて決断できずにいたんですけど、年末に子どもから手足口病をもらってしまって。
薬を飲まないことにはどうにもこうにも乗り切れなかったから、断乳しました。いまもそのまま。毎日、お酒を1杯。ささやかな幸せを噛み締めているところです」
「女優を辞めていなくて本当に良かったなと心から思っています」
子育てをするようになれば、物事の優先順位は変わって当然だ。10代の頃から母になりたいと夢見ていた彼女からすると、それは本望なのかもしれない。
だが、そうだとしても3人を育てるとなったら浮かれてばかりはいられない。ただでさえ、母親業とキャリアの両立は不可能ではないにせよ、至難の業だと言われ続けている。
一体どうやって折り合いをつけているのだろうか。彼女はこんな話をしてくれた。
「自分のことを免疫力の高い人間だと信じてきました。10代半ばで“金八先生”に出演したのを機に寝られないほど忙しくなったけど、仕事に穴を開けることは一度もなかったから。
風邪を引いたっていざというときには人前に出られる状態まで持ち直すし、蕁麻疹が出たとしても、現場に到着する頃には跡形もなくなっている。
そんな調子だったのに、年末に体調を崩してからは何かが変わってしまって、目が覚めてスイッチが入るのに時間がかかるんです。
38歳という年齢も影響しているとは思いますが、やっぱり3人の子どもを育てるには相当な労力が要るんだと思います」
そこまで聞いて、ふとこんな考えが湧いた。それでも女優でありたいのは何故なのか。育児に専念すれば多少は楽になれるのに。
そのものズバリを畳み掛けると、彼女はしばらく一点を見つめて考えるような素振りを見せた。そして、ゆっくりと口を開いた。
「自分の居場所があるのならば、女優として居させていただきたい。わたし、ずっと求められていたいんです」
そして、こうも言った。
「辞めなくて本当に良かった」
どういうことだろう。辞めたいと思っていた、ということか?
「若い頃は結婚したら女優の仕事を辞めようと思っていました。結婚するときも、その考えがよぎらなかったわけではありません。
でも、辞めませんでした。旦那さんが女優である上戸 彩をリスペクトしてくれていたから」
「仕事をしている瞬間が、自分にとっての大事なメンテナンスなんです」
仕事は、人生のすべてではないにせよ、そのひとのアイデンティティの重要な要素になり得る。かくして上戸さんは女優「上戸 彩」であり続けた。
子どもがひとり、ふたり、3人と増えても、自分のペースでキャリアを積んでいった。そしてそのうち女優と母親の二足の草鞋を履いていることのメリットを実感していく。
「お母さんには息抜きが大事だと思うのですが、自分の時間を作れますか?と言われて、作れると断言できるひとは少ないんじゃないかな。わたしはそう。頑張っちゃう。
でも、仕事があったら、家を出なきゃいけなくなるでしょ。家では子育てにかかりっきりで自分に構わなくなりがちだけど、ひとに会うとなったら鏡を見るし、眉毛がボサボサだなあとか、肌が乾燥しているなあとか気付かされる。
仕事を通して自分をメンテナンスしている感覚もあります」
そう話す上戸さんの表情は澄んでいた。置かれている状況が大変であることに違いはないが、おそらく自分の機嫌をうまく取れているのだろう。だから、芝居も光る。
そういえば、先頃発表された第47回日本アカデミー賞優秀助演女優賞の受賞者リストに上戸さんの名前も挙がっていた。
「20代の頃は自分の環境を守りたいとか身勝手な考えにとらわれて行動が鈍っていたけど、30代がものすごく充実していたのもあって、ガードが外れた。40代に向けていろんなお芝居に挑戦したい」といまの心境を話してくれたが、今後のさらなる飛躍が楽しみである。
プライベートでやりたいことは特に思いつかないというので、ふと、仕事からも子育てからも解放されて1週間休みがあったら何をするか問いかけてみた。
すると、彼女は「気が滅入る」と即答。「誰かに求められていないと寂しくて居てもたってもいられなくなってしまう」と、自分の気持ちをさらけ出した。
そんな上戸さんはたまらなく魅力的なひと。女優業も、母親業も、彼女にとっては天職だったのだ。
インタビューを終えて横浜の街から消えてゆくその後ろ姿を見送りながら、そう思ったのだった。
■プロフィール
上戸 彩 1985年生まれ。東京都出身。’97年に「第7回全日本国民的美少女コンテスト」で審査員特別賞を受賞して芸能界に入るきっかけを掴み、2000年にTVドラマ『涙をふいて』で女優デビュー。Amazon Originalドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1~東京湾大海戦~』が配信中。6/28公開予定の映画『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』にルルン役でゲスト声優として出演。
■衣装
コート 293,700円、ドレス 355,300円、スカート 220,000円(すべて参考価格)〈すべてファビアナフィリッピ/アオイ TEL:03-3239-0341〉、ピアス 855,800円、ネックレス 363,000円、ブレスレット 938,300円、リング 376,200円〈すべてTASAKI TEL:0120-111-446〉、バッグ 297,000円〈クリスチャン ルブタン/クリスチャン ルブタン ジャパン TEL:03-6804-2855〉
▶このほか:「デートを重ねている好きな相手だったら…」森 香澄が語る、リアルな恋愛観にドキッとした!
2月21日(水)発売の「横浜が呼んでいる。」を読みたい方はこちらから!
今月の『東京カレンダー』は「横浜」を初特集。”あの頃”からアップデートした最新の横浜情報を武器に、あの人を誘い出そう!
大人のための「横浜攻略本」、保存版です。
月刊誌『東京カレンダー』は、毎月21日頃の発売です。お近くの書店、コンビニでお求めいただけます。
⇒紙版をお求めの方はこちらから
また、買いに行く時間がない方、近くのお店で売り切れてしまっている方には、インターネットでの購入もお勧めです。
⇒通常版はこちらから
⇒特別増刊はこちらから
⇒アプリでのご利用はこちらから(iOSの方・Androidの方)
※最新版のアプリをダウンロードしてください。
【表紙カレンダー】の記事一覧
2025.03.13
Vol.131
「一緒にディズニーシーに行ったことも…」FANTASTICSの八木勇征×中島颯太、ふたりだけの鮨時間で見えた強い絆とは
2025.03.10
Vol.130
「私、頑張ってる」芳根京子が神楽坂の鮨店でこぼした、素直なひと言の裏側とは
2025.02.18
Vol.129
目黒蓮×佐野勇斗が、ラグジュアリーホテルのスイートで語り合ってみた。お互いの第一印象とは…
2025.02.10
Vol.128
「なぜ、こんなにも輝いているんだろう…」浜辺美波の目が、思わず釘付けになった女性とは
2025.01.17
Vol.127
「イケメン&モテ男。今まで演じた中でいちばん自分に近いでしょ(笑)」永瀬廉が語った本音とは
2025.01.14
Vol.126
乃木坂46を卒業したあと、グアムを旅した山下美月。完全フリーの2週間していたこととは?
2024.12.22
Vol.125
「2024年、廉のあの“おいっすー”は最強だった」虎ノ門のホテルでKing&Princeが語った激動の一年
2024.12.17
Vol.124
「26年の人生の中でも、すごく大きな出来事」港区を席巻した和食店で語った、齋藤飛鳥の胸の内とは
2024.11.02
Vol.123
「あぁ、これはご褒美だ~♡」女優・松本まりかが、とろける旅を楽しんだひととき
2024.10.05
Vol.122
世界を見据えて突き進むBE:FIRSTの、SHUNTO、RYOKI、SOTA、3人の絆とは?
おすすめ記事
2024.02.11
表紙カレンダー Vol.109
「芸能のお仕事をしていると…」上白石萌音が抱く危機感と、“平凡”であり続けることの意味
2020.08.29
”温泉宿”の概念が変わる!話題の『ザ・ リッツ・カールトン日光』は、やはり別世界だった
2019.05.30
東カレ 転職相談
東カレ 転職相談:肩書きは良くても年収は低い。転職活動で見えた、日系企業のリアルとは
2023.10.11
ハラスメント探偵~通報編~
“頭をポンポン”しながら「頑張れよ」という上司に鳥肌!ハラスメント相談窓口に駆け込むも…
- PR
2025.03.24
週末ブランチは“泡酒フリーフロー”で豪快にいけ!春一番を感じられる、六本木の名門ホテルは…
- PR
2025.03.25
牛肉の本場・大阪で最高のステーキを! 極上の「アメリカンビーフ」を楽しめる珠玉の4軒
- PR
2025.03.26
春旅するなら万博でも話題の西日本へ!大人が満足する贅沢時間を過ごせるホテル4選
2023.09.26
Editor's Choice~fashion~
秋冬ファッションの本命は、Diorの千鳥格子!装いを格上げするジャケットからバッグまで新作登場
- PR
2025.03.27
7種類ものフレーバーが楽しめる! この春、台湾生まれのフルーツビールが話題!
- PR
2025.03.28
ほろ酔い美女の正体とは!?17LIVEの人気ライバー4人を、港区のバーにお連れしてみたら…
東京カレンダーショッピング
ロングヒット記事
2025.03.19
運命なんて、今さら
初めて彼のマンションを訪れた28歳女。しかし、滞在10分で、突然「帰りたい」と思った理由
2025.03.22
男と女の答えあわせ【Q】
「豊洲に住んでいる」と33歳男が言った途端に、デート相手の女が戸惑ったワケ
2025.03.23
男と女の答えあわせ【A】
「年収800万くらいでもいいかな…」相手に求める条件を妥協したつもりの30歳女の大誤算
2025.03.17
1LDKの彼方
「何もないって言われたけど…」彼氏が他の女と連絡を取っていたことが発覚。30歳女は思わず…
2025.03.20
TOUGH COOKIES
「幸せそうな彼女がなぜ?」SNSで悪質コメントの犯人を突き止めたら、意外な人で…