世のハイスペックな男女は、一流企業に勤めてバリバリ稼ぐ。何も苦労もせずに働き、華やかな印象だ。
だが、そんな一流企業を辞める人も多く存在する。では、なぜ彼らは退職という道を選んだのだろうか?
そこにはその業界、その企業に勤めた人にしかわからない、光と闇が広がっていた。
Vol.1では、今や難関大学の学生を中心に人気の就職先となった「外資系コンサルティング企業」にスポットを当てる。
有名企業を渡り歩いた男性が語る、外コンのリアルとは?
取材・文/風間文子
▼INDEX
1. 表向きは「高収入」で「やりがい」のある職業だが…
2. 扉の先にあったのは、光か闇か
3. 外資系コンサル企業の闇は、人の顔をしていた
4. いかに大手に就職したからといって安泰はない
東京大学の学生新聞を発行する東京大学新聞社が、2022年度卒業・修了者の就職状況を集計し、公表している。
結果をみると、大学院修了者の部で民間企業の就職先トップとなったのは、総合コンサルティング企業のアクセンチュアだった。
ほかにも戦略系コンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニーといった、外資系コンサルティング企業の面々も名を連ねる。
こうした企業に人気が集まる理由をネット上で探すと、「高収入」「社会に貢献できそう」「やりがいがありそう」「良い企業に転職しやすそう」といった声が散見される。
では、実態はどうなのだろうか。
表向きは「高収入」で「やりがい」のある職業だが…
【今回の取材対象者】
名前:翔さん(30代)
職歴:日系の電子機器メーカー(3年)⇒外資系ITコンサル(2年)⇒BIG4(4年)
年収推移:400万円⇒550万円⇒700万円
最終学歴:MARCH卒
今回取材に協力してくれた翔さんは、外資系コンサルティング企業の扉を開き、数年前までその世界に身を置いた1人だ。
「大学時代には海外でバックパッカーやボランティアなどを経験し『いつかは海外駐在を』と夢見ていました。
そうして新卒で就職したのが、海外に拠点のある日系の老舗メーカーだったんですが…。なかなか思い描いていたような海外出張や、駐在といった業務に携わることができませんでした。
一方で、同期の中には海外営業といった花形かつ海外のポジションにいる人もいて。それは正直悔しくて、ライバルであった同期を見返すために転職を考えるようになった。それが入社3年目のことです」
そこで視野に入れたのが、会社のイメージや給料が良くて、海外とのつながりもある外資系のコンサルティング企業だったという。
彼は海外駐在を志していただけあって、学生時代に英語を勉強しており、TOEICで800点を取得するほどだ。
おまけに、当時すでに国内におけるコンサルティング業界の市場規模は拡大の一途にあり、間口は広く、転職活動はトントン拍子で進んだという。
そうして採用が決まったのが、総合コンサルティング大手で知られる外資系の某企業だ。配属先は業務改革やシステム導入を担当する部門だった。
「最初に就職したメーカーでの実務経験がクライアントとの会話で生きると評価してもらい、第二新卒という形で採用が決まりました。まだコンサルの経験も知識もないのに、基本給は100万円もアップして500万円スタートですよ。
海外展開するメーカーよりも海外業務に携わる機会は少ないとわかっていても、完全に海外への夢が断たれたわけじゃない。頑張り次第でチャンスはある。
それに新卒で入社したメーカーが老舗ということもあって、業務効率の悪い部分を嫌というほど見てきました。そうした点を改善していく仕事にやりがいを感じられるかもしれない…。とにかく、最初は期待で胸が膨らみましたね」
翔さんは、この最初の転職を経て、20代のうちにコンサル業界の「BIG4」への転職も果たしている。
さらには念願だった海外駐在の夢も叶え、年収は1,000万円の大台に乗る目前だった。にもかかわらず、現在その会社に翔さんの姿はない。
いったい、彼の身に何があったのだろうか。
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