愛おしい人といるときは、何気ない時間が特別なものに変わる。
そして、2人の時間をよりスペシャルなものにしてくれるのが、ワインだ。
ワインには、香りと舌の記憶とともに一瞬を永遠に留めてくれる不思議な力がある。
今宵も、ボトルの前に男と女がいる。
長い年月を経て、このテーブルに辿り着いたこのワインのように、とっておきの物語が紡がれる。
▶前回:「仕事で遅くなる」と嘘をついて、妻に内緒で元カノと密会した男。家に帰ったら…
Vol.15『別れる理由』いずみ(30歳)
「いずみ、表参道の交差点。あそこまで一緒に歩いたら、さよならしよう」
直樹が穏やかに言った。
「うん、本当にさよならなんだね」
いずみは直樹から腕を離し、空を見上げた。明るい街の光に邪魔され、星ひとつ見えない。
21時。
2人は西麻布で最後の食事をした後......
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この記事へのコメント
二人揃って言いたいことあっても遠慮して言えないタイプだったんだね。ただ転勤は.....行く側が一緒に来たい? 位はそれとなく聞いて欲しいよねぇ。
少し離れて関係を「熟成」させて、より幸せに向いうといいなって、素直に応援したくなった。