「センターにとって一番大事なことは、楽曲に魂を込めること」
森田さんの名前は最後に呼ばれた。センターを務めるのは通算3度目だが、分かったときは嬉しさよりも複雑な気持ちが勝ったという。
「前にセンターを務めたときは先輩たちが脇を固めて支えてくださいましたが、今回は両隣が3期生の後輩なので同じような感覚でいてはいけない。意識を変えなければ」
それを受けて聞いてみた。
“これから楽曲を披露していく上で、センターに求められることとは?”
森田さんは言葉を選ぶようにしつつ、まっすぐにこちらを見て言った。
「魂を込めることだと思います。
曲のイメージは詞や音に加えて、表情やパフォーマンスでも作られる。だとしたらそれを表現する者として心と体を健やかに、フラットにしておきたいし、メンバーとのコミュニケーションも大切にしたいですね。
人と人との関係性って意外とちょっとした所作に表れてしまうと思うので」
そうなのかもしれない。例えばギスギスした関係だと素っ気なくなるし、気を遣わなければいけない関係だと、妙にテンションが高くなったりする。
なんでもないふうに演じることはできるだろうが、綻びはどこかに出る。
「だから、積極的にメンバーに声をかけていきたい。それがセンターを務める私の役目なのだと思います」
その言葉を聞いたら、華奢で小柄な森田さんがひと回りもふた回りも大きく見えた。