イベントのハイライトは、「ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2009」に合わせた、成澤由浩シェフによるイノベーティヴな里山キュイジーヌ。
「人と自然の共存という考えは日本特有のものと考えていました」と成澤シェフ。
「しかし、ドン ペリニヨンも自然を尊重して創造されていることを知り、世界的に普遍の概念であることがわかりました。自然と対峙しながら料理を作るのは、短い旬の一瞬を捉えること。こうした儚さにドン ペリニヨンを感じます」。
山から森、川、湖、そして人里~海へと流れていく成澤シェフのメニュー。
「山」と題された料理は、京都の山の中に棲む本州鹿と、同じ山から採ってきた木の実や果実を組み合わせたもの。写真の「湖」は炭火でじっくりと焼いたスッポンで、成澤シェフは「野生的なエネルギーを表現しました」という。
シャプロン氏も、「『ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2009』も含め、ファインワインとはすべからくネイチャー(自然)とカルチャー(文化)の融合により生まれます。成澤シェフはそれを深く理解し、里山を通じて、自然と人との緊張関係を料理の中に落とし込むことに成功しました」と称賛を送った。
このイベントに参加したモデル・俳優の三吉彩花さんは、「五感すべてを使って体験する世界観は唯一無二の特別なものでした。『ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2009』のぐっとくるおいしさに、成澤さんのお料理の味覚だけでなくしっかりと追求されたストーリーのハーモニーが素晴らしかったです」とコメント。
俳優の中村獅童さんも、「成澤シェフの料理が、『ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2009』を通して、優美な悦びに変化していく過程を、口の中だけでなく、空間やその瞬間の時間を通して感じられました」と述べている。
さて、今回のイベントでお披露目され、12月から順次発売予定の「ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2009」。
そもそもドン ペリニヨンにとってロゼとは何かと問えば、「修道士ドン・ペリニヨンの精神を最も如実に表現したシャンパーニュであり、ドン ペリニヨンの革新性や自由な創造性、そして限界をさらに押し広げたもの」とシャプロン氏はいう。
「ロゼはよりチャレンジング。まず、フランス最北のワイン産地であるシャンパーニュで、十分に成熟した赤ワインを造ること自体が難しい。第二には赤ワインはパワーがあるので、全体のハーモニーをとるのが困難なのです」。
そこで赤ワインが馴染むよう、ロゼは通常のドン ペリニヨンよりも数年長い熟成期間を必要とする。現行のドン ペリニヨンが2013年ヴィンテージなのに対し、今回、2009年のロゼがようやくリリースされたのはそういうわけなのだ。
温暖で日照量にも恵まれた2009年の「ドン ペリニヨン ロゼ」は、ラズベリーや赤スグリなど赤い果実の芳醇なアロマに、10年以上の熟成がもたらす妖艶なフレーバーが加わり、味わいはリッチにしてクリーミー。
しかしその一方でピュアなミネラル感によるテンションも備え、熟成感とフレッシュさという相反する要素を両有する。たとえるなら、泡をまとった極上のブルゴーニュワインのごとし。
限界を超越した別次元へと、あなたを誘ってくれるロゼ・シャンパーニュである。
文・柳忠之