現代のビジネスシーンを生き抜く上で、ハラスメント対策は必須だ。
だが、暴力や暴言など明らかなブラックゾーンの案件は全体の1割で、9割は判断しづらいグレーゾーンといわれている。
では、その見極め方とは?
それらのジャッジを手助けするのが、通称ハラスメント探偵と呼ばれる藤川小五郎。
今回は、♡の絵文字から好意があると勘違いし、告白後にセクハラだと内部通報されたケース。
果たして、結末はいかに!?
※この物語は実話を元にしています。※人物名は仮名です。
監修/株式会社インプレッション・ラーニング
代表取締役 藤山 晴久
取材・文/風間文子
前回は:オフィスに家族写真を飾っていたら“セクハラだ”と内部通報された男性社員。会社側のジャッジはいかに!?
INDEX
1. 純粋な告白が悪夢へと変わった理由
2. 思わせぶりな態度を勘違い、それでもセクハラ!?
3. 結局、どうすればセクハラとして訴えられない?
純粋な告白が悪夢へと変わった理由
夏が終わったというのに暑い。
「なあハラスメント探偵、こんなときは何か怖い話でもしてよ」
麻布十番の網代公園から程近い、バーに居合わせた常連客の1人、田所雄二(42歳)が僕に声をかけた。
隣に座る別の常連客・仙道信男(33歳)までもが期待の眼差しを向けていた。ただ、困ったことに僕は“探偵”ではないし、人に話せるほどの怪談も知らない。
僕の名前は藤川小五郎、一介のハラスメント問題を専門に扱うコンサルタントだ。
そこで彼らには、ある会社で起こったセクハラ騒動について話すことにした。
「これは大手自動車メーカーに勤務する独身男性が、赴任先で巻き込まれた実話です。
男性はLINEを交換した部下の女性からハートマークのついたメッセージを何度ももらい、次第にその気になっていきます。
そしてついに告白したのですが、あろうことか、その男性は告白した部下の女性からセクハラで訴えられるんです」
「え、だって女性も好意を持っていたわけでしょう。なんでセクハラになるの?」と、途中で話を止めたのは田所だった。
「…それが、真相は少し複雑なんです。
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