四谷を代表するフレンチといえばここ!愛情こもった本格派の美味がある名店

四谷エリアを語るに欠かせない、フランス料理の匠の店『北島亭』。

店があるのは、四谷・三栄通り。新宿通りと並行するこの道沿いには数多くの飲食店が軒を連ねるが、30年以上変わらず暖簾を守っている店はごくわずかだ。

同店は、なぜこの街でひときわ存在感を放つのか?この地で人々の記憶に刻まれる理由を紐解いていく。

この街で、三十余年。フランス料理への憧憬を胸に、シェフ・北島さんは今日も厨房に立つ

バブル絶頂の1990年、四谷三栄町に看板を掲げた『北島亭』。30年以上、移転も改装もせずにこの地で営業を続ける理由はひとえに、食材と料理にすべてを注いでいるから。黄色いファサードも不変で、久しぶりにここを訪れる者にも優しい光景がある


1990年9月6日、『北島亭』は四谷三栄町で創業した。

オーナーシェフの北島素幸さんは、当初この街には縁も、特別な思い入れもなかったという。


開店当時からほぼそのままという店内。が、隅々まで手入れは行き届いている。

現在、予約は8名までに限定。

「仔羊を掃除して出た脂は、ムニエルを焼くのに使っている。美味しいし、無駄にならないから」「休みの日の楽しみは、育てているパセリの世話。手が掛かるし、買ったほうが安いかもしれない(笑)。でも、新しい使い方を考えるとワクワクする」料理について語る姿勢に感じる、飽くなき探求心に感服する


「前の店を辞めていよいよ自分で店をやるしかない状況で『あ・た・ごおる』の田辺(年男)さん(現『ヌキテパ』オーナーシェフ)に“四谷辺りがいいんじゃないか”とアドバイスをもらって、来てみたんです」

街を見て回り「ここでやれたらいいなあ」と思った物件に運良く入居。

「開店当時はほぼ無一文で、思うように仕入れができなかったことも。お客さんにも随分迷惑をかけたと思うけど、前進あるのみ、でひたすらやってきた」

究極を求めるが故の“未完”のスペシャリテが、この店の信念を物語る

「オーストラリア産仔羊の岩塩包み焼き」は、30代でパリを訪れた際、当時ジョエル・ロブションが腕を振っていた『ジャマン』で目にした名物料理。食する機会がなく、詳細な作り方も分からなかったが、20年来試行錯誤を重ねて作り続ける特別な一品


これまでに作ってきた料理で最も難しいと語るのが「仔羊の岩塩包み焼き」だ。

注文を受けてから手早く肉を切り出し、塩入りのパート(生地)で包んで焼く一品は、火の入り具合を目視で確認することができない。頼りになるのは触った際の弾力のみ。

「難しくて何度も失敗したけれど、この料理にチャレンジし続けることが、どれほど大切なことを僕に教えてくれたか。ようやく少しは上手に焼けるようになったかな……」

創業以来の定番である「北海道産生ウニのコンソメゼリー寄せ カリフラワーのクリーム」。第一に、たっぷり使うウニの鮮度の良さが肝要。そしてコンソメは、ウニの濃厚さを生かす控えめな味と口の中でさらりと溶ける固さに仕上げている。純白のカリフラワーのクリームがコクを添える名作だ


可能な限り最良の素材を仕入れ、余すことなく使い切り、たっぷりと皿に盛る。その姿勢は、昔も今も変わらない。

ベテランと若手、信頼するスタッフと三人体制で店を切り盛りする現在は、ハードだけれど充実していると語る。

北島シェフがサインに添える言葉がある。「料理も人生もやさしさと愛情 そしていっぱいのロマンス」。

四谷を代表するレストランの主となった今なお、フランス料理への思いは迸る。

■店舗概要
店名:北島亭
住所:新宿区四谷三栄町15-2 JHCビル 1F
TEL:03-3355-6667
営業時間:ランチ 11:30~(L.O.12:30)
     ディナー 18:00~(L.O.19:00)
定休日:火曜、水曜
席数:テーブル8席 ※要予約

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