呑んでよし、食べてよし 進化するBARというカウンター Vol.1

ワイイン

Yin

良いバーを知っていると人に言える優越感

※この店舗は、移転しています。詳しくは、下記店舗情報よりご確認ください。
この記事は、移転前の情報です。

最寄り駅は広尾だが、少し行けば西麻布という立地。面する道は手練のタクシーだけが通り行く裏通りで、まさに知る人ぞ知るワインバーである。ここが店であることを示すのは、扉の脇に掲げられた正方形の小さな看板のみ。ワインオープナーを象ったロゴが愛らしく映る。

「私自身、ただ飲むのが好きで。オーナーの女性とは30数年の付き合いになりますが空いているこの物件で何かしようと始めたのが4年前になりますか」と穏やかな物腰で店主の山本修平氏。

店は3階にあり、インターホンで来店を告げてから、中の階段を上っていくという仕組み。600本は保有するワインの一部がガラス張りのセラーに行儀良く並び、ちらりと見るだけで、相当なコレクションだと分かる。カウンターとラウンジ、空間は大きくふたつに分かれているが、そのどちらも、思わず長居してしまいそうな包容力。

カウンターはバーナー仕上げの御影石で、表面が凸凹になった独特の風合いが印象的。オリジナルで作らせた椅子の座り心地も快適で、自然と身体に馴染む、馴染む。「カウンターで飲まれる方はやはり印象に残ります。私共も、お客様のことをより深く知るために必要不可欠な装置がカウンターだと思っていますから」

興趣をそそるロケーションや、ワインのラインアップ以上に、このバーを特別な存在にしているのが料理だ。階下には食通が愛する料理店『こうもと』があり、この店の営業時間中であれば、全てのメニューを取り寄せることができるのだ。

蕎麦粉10割に対し、つなぎ1割の外一蕎麦が食せるバーなんて、あっただろうか。ほかにも飛騨牛の握りや江戸前穴子の白焼き、雲丹の天ぷらなど、並ぶ料理の数々を見ていると、ここがバーであることを完全に忘れてしまう。

コミュニケーションスペースとして、あるいはヒーリングスペースとして、バーが果たす役割は少なくない。しかし、それ以上ともいえる魅力がこのバーには凝縮されていると確信する。

新ゴボウの黒胡椒揚¥800。しっかり揚げてサクサクの食感

重厚なカウンターに全8席。ワイン中心だが、主要な銘柄のいくつかならウィスキーなども揃える

鴨せいろ¥1,600。口当たりの心地良い細打ちで外一ゆえに香りも豊か。無論、温かい蕎麦も用意する

左.シャトー・ブラネール・ドュクル’83¥24,000やシャトー・レオヴィル・ラス・カーズ’81¥34,500なども

右.5大シャトーのヴィンテージはもちろん、DRCなど希少なボトルも少なからず揃うコレクションだ

地鶏 梅香磯辺揚げ¥1,400。大葉、梅肉、こうもと特製スモークチーズを地鶏のもも肉と海苔で巻き、天ぷら衣をつけてカラリと揚げた

裏通りに面する建物は一見するとデザイナーズマンションのよう

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