「慶應”幼稚舎″に入りさえすれば…」元丸の内OL29歳女がこだわる理由:お受験の答え合わせ【Q】

Q:若葉会のカラーとは違う、華恵家族の特徴とは?


つい1年ほど前までは、東京での“幼稚園受験”とは無縁の人生だった。

華恵自身は福岡で生まれ育ち、高校、大学ともに推薦入試でパス。几帳面な性格の華恵にとって、一発勝負の普通受験より、日々の努力で内申点を上げることのほうが苦にならなかった。

上京して、青山学院大学をストレートで卒業してからは、丸の内に本社のあるメガバンクで秘書として勤務。3年ほど働き、大学時代の塾講師のアルバイトで出会った明との結婚が決まって寿退社した。


明は一橋大学を出たあと、大手商社に勤めている。幼い頃から剣道をやっていた明は礼儀正しく穏やかな性格で、彼といると落ち着いた。

派手さはないが、穏やかで幸せな家庭を築けたことが、華恵の密かな誇りだ。

長崎で不動産会社を経営している父親は、一人娘の東京での結婚を反対していたが、普段大人しい華恵が珍しく意志をまげなかったので、最後には渋々承諾した。

きちんと努力すれば結果がついてきた人生。それだけに今回のことは、ショックだったのだ。



若葉会を受験しようと思ったのは、大学の先輩・麻衣子からの影響である。

「東京で上を目指すって、大変じゃない?娘には余計な苦労させたくないって、つい思っちゃう」

青山グランドホテルの『ザ ベルコモ』でお茶をしたとき、麻衣子はそう言いながらカプチーノを口にした。

「でも“幼稚舎出身”であれば、最初から最高の環境が与えられる。余計な苦労をさせずに、のびのびと東京生活を楽しめると思うの」

麻衣子は同じ九州出身で、青山学院大学時代のサークル・ESSの先輩。麻衣子の夫は慶應出身だと言っていたが、同じく地方出身の外部生だ。

美人で聡明で、サークルのマドンナ的存在だった麻衣子は、準ミスキャンパスでキー局のアナウンサーとして就職。輝かしい経歴で何の苦労もしていなさそうに見える麻衣子からの言葉には、その言葉以上の重みがあった。

「だって、華恵ちゃん」

いつもと同じ笑顔で微笑む。

「幼稚舎出身っていうこの世の“フリーパス”を、娘に与えたくない?」

普段滅多に本音を口にしない麻衣子のその言葉に、戦慄が走った。



その日から、華恵は持ち前の計画性と几帳面さを駆使して、若葉会合格プランを作成した。

若葉会に強い広尾の塾に、ツテを辿ってなんとか入り、掲示板は隅から隅まで読み漁って参考にした。親子面談の対策も、塾の先生に呆れられるほど熱心に取り組んだ。

親子面談では、平和でほのぼのとした家庭環境がわかるものだと、ある程度の手ごたえがあった。


しかし結果は、不合格―。

夫からLINEが来る。

「華恵が一生懸命頑張ったことは、絶対無駄にはならない」
「今日は華恵が好きな、シュークリームを買っていくよ」

夫からの言葉に、涙が滲む。

何がダメだったのだろう。幼稚園受験はただでさえ不透明な部分が多い。

その答えが、何としてでも知りたいと思った。


答えが知りたい方はこちらから>>枝光会に若葉会。「コネがないと入れない」と言われる、御三家幼稚園の真実:お受験の答え合わせ【A】

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