【教育・お受験】国立小のメリット・デメリットがわかる、ある家族のストーリー


地方に移住したエリート家族の苦難。国立から公立小に転校した長男が漏らした本音とは


休日には子どもと一緒に渓流で魚釣りを楽しみ、晴れ渡る青空を見上げながら野鳥の声に耳を澄まそう。

昼食は自宅の庭で、家族一緒にBBQだ。

手作りのブランコで無邪気に遊ぶ子どもを眺めながら、腰掛けるウッドチェアの傍には自家製の石窯があり、庭で育てた無農薬の野菜をのせたピザが熱を帯びていく。

ゆっくりと、じっくりと。

そんな暮らしに憧れて、地方移住を決めたのは藤堂恵美子さん(仮名、45歳)一家だ。

恵美子さんは、かつてメガバンクに勤めていたが夫との結婚を機に退職し、専業主婦となる。

移住前は神奈川県横浜市の高級低層マンションに住み、夫は企業弁護士として年収2,000万円以上を稼ぐヤリ手だった。

11歳の長男は神奈川県内にある国立小学校に通い、5歳の長女も幼稚園に通わせながら小学校受験に備えていたという。

一見、順風満帆かのように思える生活ぶりだが、何が藤堂さん一家を移住へと駆り立てたのだろうか。


藤堂さん一家が地方移住を決意した背景には、子育て環境に対する悶々とした思いがあった。

「私も夫も、生まれ育ったのは東京でした。私の母方の実家は代々の政治家一家で、夫の実家も祖父が官僚という国家公務員の家系です。

思えば家柄的な事情で私も夫も、親にすべてを決められて育てられてきました。私は幼稚園から雙葉、そして夫は麻布中・高を経て東大です。

あれはダメ、これもダメ、こうしなさいと躾られ、進路も就職もすべて親に決められてきた。

こうした経験があって、我が子には基本的に「何になれ」という押し付けだけは絶対にしたくない、そんな思いが夫婦の共通の認識としてありました。

ですが双方の実家に長男を連れていくたびに、国会議員になるにも相応の学歴が必要だとか、官僚になるために東大を目指しなさいとか、孫にまで指図してくるんです」(恵美子さん)

自分たちだけでなく、孫に対しても決められたレールを敷こうとする実家に反発するかのように、藤堂さん夫婦は学歴重視の詰め込み教育ではない環境を求めた。

「とにかく自分の力で生きていける能力を備えてほしい、そんな思いで選んだのが国立の小学校(国立大学附属小学校)でした。

長男には今だけは我慢してと毎日5〜6時間、机に押さえつけて受験勉強をやらせて、なんとか合格できたのですが…」(同)

続きはこちら

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo