何不自由ない生活を送っているように見える、港区のアッパー層たち。
だが、どんな恵まれた人間にも小さな不満はある。小さな諍いが火種となり、後に思いがけないトラブルを招く場合も…。
しがらみの多い彼らだからこそ、問題が複雑化し、被害も大きくなりやすいのだ。
誰しもひとつは抱えているであろう、“人には言えないトラブルの火種”を、実際の事例から見てみよう。
記事最後には弁護士からのアドバイスも掲載!
Vol.1 すれ違う夫婦の現実…。金の切れ目が縁の切れ目?
「いくらなんでも、8,000万円はないだろう…」
港南のベイエリアに建つタワーマンション32階のある一室で、白井弘道は、呆れたように言った。
窓の外に望むオーシャンビューは、陽の沈みかけた紅色の空を、鏡のように水面に映し出している。
そんな幻想的な風景に似つかわしくない、金銭トラブルに関する会話が夫婦のあいだで交わされていたのだ。
「いいえ、譲るつもりはないわ」
妻の悠香は、膝にのせた愛猫のレノンを労るように撫でながらも、強気の姿勢を崩さない。
「君に借りたのは、起業したときの500万だぞ。いくら会社の株式価値が上がったとはいえ、欲を出し過ぎだ」
「今の会社の価値なら8,000万円ぐらいが妥当のはずよ。財産分与として私が半分受け取るのは当然じゃない?」
悠香は同意を求めるように、レノンの顔を覗く。
2人は現在別居中であり、離婚に向けて話し合いを行っていたが進捗は芳しくなかった。
「でも、2年間の別居期間があるじゃないか。その間に伸ばした業績の分の支払い義務はないだろう」
この言葉に、悠香は何も言い返せない。
予想通りの展開に、弘道は内心安堵していた。
…実はこの展開、弘道が予め思い描いていたものであり、プラン通りに会話は進んでいるのだ。
この記事へのコメント
事前に様々調べたみたいだし。
青木先生の見解は勉強になるし、来週も楽しみ。