
「僕、何も取り柄がないんです」と語る大倉孝二が、役者を続けるワケとは?
舞台叩き上げの役者で、テレビでもお馴染みの顔の俳優・大倉孝二さん。
独特の“間”を挟みつつ、時に自虐やウイットを織り交ぜながら、淡々と、飄々と自身について語ってくれた。
そんな人柄は彼の生き方に滲み出ていた。
いい年した大人がダメなところもさらけ出す。何かよくないですか?
スーツをバシッと着こなす身長187センチの抜群のスタイルに、大人の男の渋みが滲む表情。
「僕、何も取り柄がないんです」
撮影の感想をたずねると、ぽつりとそう切り出した。
「踊れるとか歌えるとか楽器ができるとか、誰でもわかる取り柄っていうものに憧れがあるんです」。
演じられる、というのも立派な取り柄なのではと問うと、「どうでしょうか(笑)」と謙遜する。
「踊りや楽器ができる役者さんが多いけど、僕は全くできないから。今日の“トランペットを吹いてみたい”というリクエストは、そのコンプレックスの裏返し。なので嬉しかったです」
幼い頃からコメディ番組が好きで、特に喜劇役者さんが大好きだったという大倉さん。
舞台上では楽器も弾くしダンスも踊るというが、「ギターなんて人に聴かせるレベルじゃないし、踊りは一番苦手」と話す。
なぜわざわざ格好つかないことを、人前で披露するのか。
「映画やドラマと違って、舞台をやるときはダメな部分も見せてもいいかなと。いい歳して恥を晒すっていうのも、何かよくないですか?
歳を取ると完成度が高いものを目指しがちですけど“洗練”だけに向かって生きたくないんです。求められれば応えるけれど、みっともないこともやっていきたい。お客さんを笑わせるのでなく、笑ってもらう。
『全身全霊でバカみたいなことしてますよ』っていうスタンスですね」
必要とされているうちは精一杯やりたいと思う。結果、続いちゃいました
役者という仕事を自ら楽しみ、意欲的にフィールドを広げているように映る大倉さんだが、「もうかれこれ100回以上、役者辞めたいって思ってます」と一刀両断。
「面白いものを作る現場を見てみたいというのがこの世界に入ったきっかけで、表方でも裏方でもよかったんです。でも役者を続けているうちにこれが仕事になって、今の時点では必要とされている。だったら必要とされているうちは、精一杯応えたい。
撮影が終わった時、必ず監督に『大丈夫でしたかね?』って聞きます。『とてもよかったですよ』って言われたら、嬉しい。その繰り返しで、続けてきたというより続いちゃった。
役者を辞めたくなることは今でもあります」と、淡々と話す。
ドラマの続編と映画化が決まった『妖怪シェアハウス-帰ってきたん怪-』では、ぬらりひょん役として登場。
「日本の役者の中でも、かなり妖怪役を演じてきた方だと思います」。
板についた怪演っぷり、ぜひ注目したい。
■プロフィール
大倉孝二 1974年生まれ、東京都出身。2002年、映画『ピンポン』で脚光を浴びる。ドラマ続編と映画化が決定した『妖怪シェアハウス-帰ってきたん怪-』にぬらりひょん役で出演。
■衣装
シューズ 52,800円〈ヴィンテージ/OLD HAT TEL:03-3498-2956〉、その他スタイリスト私物
▶このほか:「三度の飯より酒が好き」古田新太が三茶界隈での飲み方を教えてくれた!
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東京カレンダー最新号では、大倉孝二さんのインタビュー全文をお読みいただけます。
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