男と女の怪談~25歳以下閲覧禁止~ Vol.43

コロナ禍の結婚式、感染対策を意識し過ぎて…!?新郎が幸せの絶頂で知ってしまった、衝撃の裏事情

佳き日の違和感


広々とした庭園が併設されたバンケットルームは、まるで西海岸の豪邸を貸し切ったかのような雰囲気だ。

明るい会場に足を踏み入れ、僕と多恵は微笑みあった。


ゲストも、ゆったりとした会場でリラックスしてくれているようだ。

多恵は北海道の紋別出身で、今回の状況では親戚や幼馴染たちを呼ぶことはできなかった。

「紋別には、母が再婚してから帰ってないから。親戚には、ちゃんと報告しておくから大丈夫」

と、多恵が言ってくれたので、結婚式は僕のホーム、東京で行うことになった。彼女のそういう気遣いと思いやりがあるところは、僕が結婚をしたいと思った理由のひとつだ。

そんなわけで、30人の招待客のうち、20人が新郎側、10人が多恵の大学時代と社会人になってからの友人だ。

多恵は、東京の女子大を出たあとアパレルメーカーに事務として勤めていた。ところが経営が厳しくなり、会社がつぶれてしまう。そのあと、僕が勤めるクリニックが入っているタワーの受付スタッフとして勤務することになり、僕と出会った。

「多恵ちゃん、おめでとう!ドレスとっても似合ってるね!」

最初の歓談タイムで、まず多恵の友人たちが高砂に祝福に来てくれる。

全員が可愛らしいワンピースにストールのようなものを羽織っている。横から見ていると、ちょっと面白いくらいのシンクロぶりだ。

「みんな、今日はありがとう!理絵、素敵なスピーチもありがとうね。この会場、お料理とっても美味しいの、ゆっくり楽しんでいってね」

多恵は幸福そうな笑みを浮かべ、僕をいれた集合写真をとって、満足そうに友人に御礼を言った。

事前に紹介しあうような飲み会もできなかったので、全員が初対面だ。

僕は、ちょっとは冷やかされたり何か聞かれたりするだろうと、身構えていた。

しかし、彼女たちは写真を撮ると、口々にお祝いを述べたあと、席に戻っていったので肩透かしを食らったような気持ちになった。

もしかしたら、密になるのを気にしているのかもしれない。会場も、さまざまな対策がなされているし。

「亮太~!おめでとう!こんな可愛いお嫁さんが来てヨカッタな!」

間髪を入れずに、僕の中高時代の友人たち数人に囲まれ、少々手荒く祝福を受けた。親友と呼べる何人かしか招待できなかったけれど、それでも嬉しくて、ガラにもなく立ち上がって思わず目を潤ませ、写真を撮った。

「亮太さん、いいお友達ね」

多恵はそうほほ笑むと、「私たちも今のうちに一口だけでも食べておこ?」といたずらっぽい顔をして、手つかずだった料理を一口頬張る。スクリーンには、僕たちの馴れ初めムービーが流れている。

「慌てて食べて、ドレスを汚さないようにね」

僕も笑いながら、一息ついてようやく前菜を口にする。

テーブルを彩る白い花が、天井の高い会場によく映えている。もぐもぐと食事をしながら周囲を見回したとき、僕はとても奇妙なことに気がついた。

― え…まさか!?そんなことってあるか…?

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