結婚前の、男女の葛藤。
「本当にこの人と結婚していいの?」
大好きなはずなのに、幸せなはずなのに…。そんな想いとは裏腹に、不安は募るばかり。
カレンダーを見ると“結婚予定日”まで残りわずか。そんなタイミングで発覚した、改姓トラブルや妊娠・出産に関するアレコレ…。
2人は無事に危機を乗り越え、幸せな結婚を迎えられる?
「私…。陽介のこと、男として見れないかも」
桃香は周囲を気にしつつ、小声でそうつぶやくと、アイスティーのストローを口元に運んだ。
表参道にある、オープンテラスのカフェ。お盆休み前で忙しいはずの友人・結菜(ゆうな)をわざわざ呼び出してまでこんな話をしたのには、ワケがある。
「桃香さ。それ、どう考えてもマリッジブルーだよ。でも男として見れない、なんて何かあったの?」
「同棲を始めて少しイライラすることがあって。それに正直彼に全然、ドキドキできない…」
桃香は入籍を直前に控えた彼氏・陽介とのことで悩んでいた。このままじゃダメだと、慌てて既婚者の結菜を呼び出し、助けを求めたのだ。
「人としては、好きなんだよ?」
「う~ん。付き合いが長い男女には、ありがちな悩みだけどねえ。人として好きなら、結婚してもうまくいきそうだけどさ」
そう言う結菜の左手には、ショーメのマリッジリングがキラリと輝いている。
そのプラチナリングと“既婚者”という肩書きを手に入れた結菜の存在がまぶしくて、桃香は思わず目を細めた。
「やっぱり私たち“始め方”が間違ってたのかな…」
この記事へのコメント
入籍直前にこんな険悪になったら、この先思いやられそうで。