マテリアル夫婦 Vol.11

「10万で誘われました…」22歳女が暴露する、35歳起業家の巧妙な手口


リカ@麗らかな朝の代々木公園


週刊誌を読んだあと、放心状態でベビーカーを押しながら自宅に向かっていると、黒塗りの車が近寄ってきた。

「リカさ〜ん、おはようございます!いやぁ、さすがです。産後なのにスタイル抜群っすね」

不気味な笑みを浮かべる無精髭の男を見た瞬間、週刊誌の記者だと察しがついた。

「……要件は、何でしょうか」

朝6時。

赤ちゃんと散歩中にも関わらず、下衆な話題を提示してくる予感がして、身の毛がよだつ。

「夫のマサルさんが、別宅を所有しているのはご存知ですか?」

「ええ。悪阻の時に一人になりたいと私から申し出ました。それに、赤ちゃんの泣き声があると仕事に集中できないので、静かな空間が必要みたいで」

男は片方の口角だけを上げた。いびつな笑顔だった。

「そこに、女性が住んでいるのはご存知ないと…」

「え…?」

「マミって女、ご存知ないですか?これ、どうぞ」

ご丁寧にファイリングされた書類を手渡された。写真と文書に目を通すと、目眩がしてきた。

夫と関係を持った女の顔と、その女が発した言葉を赤の他人に突きつけられることが、こんなに辛いことだとは思わなかった。

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