2013.06.21
あのクリエイターの洒脱なビールのこなし方 Vol.6ICHO
“出会い頭”に見つけた美しいおもてなし
「飛び込みがいのある、不思議な“匂い”を感じた。それがこの店を知ったきっかけだったんです」と、『ICHO』との出会いについて教えてくれた遠山さん。本当に、事前の情報はなにもないままに入り、最終的にはワイングラスを傾けて長い時間を過ごしたのだという。東京カレンダーのみならず、飲食店の情報が溢れている今の東京では、お伽話を聞いているような気分になるエピソードだ。
「サラリーマンだった頃も、今でも、知らないお店にいきなり入ってみるのが、実は好き。武士が間合いを詰めるように、飛び込む。そのドキドキ、緊張感がたまらない」。
そうして巡り会った『ICHO』は、鴨脚暢(いちょうとおる)氏のオートクチュールブランドのサロンの一部を、喫茶店として開放している場所だ。そして夜は、顔なじみのゲストが料理とお酒に舌鼓を打つ、特別な空間になる。
「ご子息の鴨脚光暢さんの料理、そして奥さまの里子さんのおもてなしは、柔らかいけれど強い“意志”を感じる。ビールひとつとっても、『風の谷のビール』という銘柄を選び、そしてグラス、注ぎ方までも、実に細やかに気が配られています」と遠山さん。ここで過ごす時間は、一体どんなイメージなのだろうか。
「僕のなかでは、軽井沢か那須あたりにある別荘に長期滞在している鴨脚家の皆さんを訪ねるという感じかな。非日常でありつつ“家呑み”的な寛ぎもあり、鴨脚さんが選んだ上質なものに囲まれて素晴らしい価値観に触れる場所です」。そんな体験をするには、まず昼のカレーと珈琲から始められたし。
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