東京修羅場ファイル Vol.2

バスルームの扉が開いた瞬間に…。安心感優先で“冴えない男”と結婚した、32歳女の末路

修羅場。

それは血みどろの激しい戦いや争いの行われる場所、またその場面のことを指す。

恋人との別れ話や、夫婦関係のいざこざ。

両者の主張がもつれたとき、それは恐ろしいほどの修羅場にまで発展してしまうのだ…。

これは東京に生きる男女の間で、実際に起きた修羅場の物語である。

▶前回:東京修羅場ファイル:2年交際した彼から「結婚する」と言われたはずなのに。男が隠していた衝撃の事実


Vol.2 あえて「冴えない君」を選んだ女


名前:大野沙耶(仮名)
年齢:32歳
職業:大手メーカー事務


「あら、やっと動いたわ」

自宅の洗面台の前で、スマホをジッと見つめていた沙耶は、小さくつぶやいた。

地図アプリに表示された、新宿の街並み。そして、その上を滑るように動く、水色の小さな丸。

それは、夫である浩介の現在地を示すマークだ。…どうやら彼は、たった今、新宿のホテル街から自宅へと向かい始めたようだった。

GPSによると、浩介はあと40分で帰ってくる。

「今終わったってことは…。そろそろご飯、作ろうかなあ」

ひとりでつぶやく声がやたらと響く、シンとした部屋。あまりにも寂しくて俯いた沙耶は、そのとき排水口にこびりつく黒い汚れに気付いた。

少しニヤリとしたあと、彼の歯ブラシを手にとり、カシャカシャと汚れを落とす。そして、それを元の位置に戻した。

―別に、こんなことで気が晴れるわけじゃないけど。

それでも、こんな小さな仕返しくらいしておかないと、気が晴れない。それほどまでに沙耶は追い詰められていたのだ。

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