東京戦略時代 Vol.6

「そんなことまで聞いてくるなんて!」同僚の私生活を探る女が、それでも嫌われないワケ

職場は、戦場だ。

出世争い、泥沼不倫、女同士の戦い…。

繰り広げられる日常は、嘘や打算にまみれているかもしれない。

そんな戦場でしたたかに生きる「デキる人」たち。

彼らが強い理由は、十人十色の“勝ち残り戦略”だった。

大手IT会社に勤務する25歳の花山 樹里は、そんな上司・同僚・後輩と関わりながら、それぞれの戦略を学んでいく…。

▶前回:ただならぬ関係の男女が出張先で…。部下にバレかけたその時、男が放ったセリフ


「こんにちはぁ、時永です。皆さんに顔を覚えてもらいたくって」

本日は、在宅勤務の日。樹里の目の前のPCの画面には、満面の笑みでハツラツと挨拶する女が映っている。

ーはあ、この光景みるの、何回目だろう…。

樹里は、頬杖をつきながら目を細めると、ふぅ、と納得がいかないようなため息をついた。

画面の中で甲高い声をあげているのは、時永はるか、推定30代前半だ。

オンラインで行われる10人程が参加する会議で、全員がカメラをつけていない中でもひとり自分の顔を晒している。

「11月に入社したばかりですが、今後どうぞよろしくお願いしまぁす」

可愛らしく上品なパフスリーブのブラウスが、彼女の魅力を引き立てている。

11月に中途入社という形で樹里と同じチームに入ってきたはるかだが、上司の紗栄子によると、今年の冬に夫の3年間のロンドン駐在の終了と共に日本に帰ってきたらしい。

ーその前は総合商社勤務で、ロンドンでも働いてたなんて…、超やり手って感じよね…。

オンライン会議のメンバーたちは、はるかの挨拶に対して「…よろしくお願いしまーす」とボソボソとした返事を返していたが、表情こそ見えないものの、ほとんどの人たちがその挨拶に好印象を抱いているのが伝わってくる。

ーコロナ禍でもがっちりみんなの心掴んで、さすがだわ。少し紗栄子さんに似てるかも。

会議も終盤に差し掛かった頃、樹里が少しボーッとしながら淹れたてのコーヒーを口にしていると、ピコン、とPCの通知音が鳴った。

<花山さん、この後時間ありますか?ちょっとお話があって…>

送られてきたのは、時永から樹里への個人宛てのチャットだ。

ーえ…、話ってなんだろう…?

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