恋のやめどき Vol.4

家に行くのに、付き合ってはない。後輩男に惑わされた女の、曖昧な恋の行方

「この恋は、やめるべきでしょうか」

誰だって、きっと考えたことがあるはず。

彼が嘘をついていると気づいたのに、
彼女が浮気していると知っているのに、
一緒にいてつまらないと、お互いにわかっているのに、
それでも見えない、この恋のやめどき。

あなたは、この恋、どう思いますか?

前回は嘘ばかりつく彼との関係に迷った麗奈を紹介した。今回は...?


名前をつけられないほど臆病な恋をした。



月曜10時、翠はコーヒーを一口すすると、ため息をつきながら立ち上がった。

「えー、今日付の異動で来た、4年目の高岡 仁くん。前は媒体部で、デジタル広告の運用をしていたので、みんな困ったら高岡くんに聞こう」

チームメンバーを前に、久しぶりの若手に喜びを隠せない部長が意気揚々と高岡の紹介をする。

「気になって社員検索で調べたけど、写真で見るよりイケメンね」

横に立つ里佳子も小声ながらに興奮して、声を弾ませる。

ブルーのシャツに、すらりと伸びた手足。少し長い前髪を目にかからないよう掻き分けながら、高岡は恥ずかしそうにはにかむ。

「でもあのイケメン、可愛い顔して前の部署では結構やんちゃしてたらしいよ」

「へぇ〜まぁ人懐っこそうな感じするもんね。モテそう」

2人がコソコソと話を続けていると、一通り自己紹介を終えた高岡が深々とお辞儀をして顔を上げた。

その瞬間だった。高岡のパッチリとした目が翠の方を向いて、ニコッと笑顔を見せたのだ。翠は思わず目をそらすと、部長の締めの挨拶の終わりとともにすぐさま椅子に座った。

-私じゃなくて、きっとみんなに笑いかけたんだよね。あのイケメンが、私に笑いかけるはずがない。

そう自分に言い聞かせながら仕事を始めたが、キーボードを叩く手はいつもよりも乱暴になっていた。

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