「女として“真の勝ち組”とは・・・」高学歴・高収入の35歳女子が語る本音

“できる姉”に対するコンプレックス


東京の裕福な家庭で生まれ育った花凛。

勉強や運動はごくごく平均的だったが、子供の頃から美少女としては有名だった。

「4つ上の姉がいるんですけど、ルックスが良いだけでなく、幼い頃からバイオリンの才能があって、有名な先生がつけられ、英才教育を受けていました。高校時代にはレッスンやコンクールのために海外にも頻繁に足を運ぶようになって、両親は姉にかかりっきりでしたね。

私も母にすすめられるがまま、ピアノとかチェロとか習ってみたんですけど。全然面白くなくて…。すぐ辞めちゃいました(笑)」

両親の期待は姉だけに向かい、自分は何も期待されていないのだと、子供ながらに感じていた。

更に、周囲は姉を褒めるとき、「お姉ちゃん“は”すごいわね」という言葉を使った。

「直接的に私を貶めるような発言はなかったですけど、その言葉の裏にある“妹と比べて”という意図を勝手にくみ取って、姉に対してコンプレクスを抱くようになっていきました」

そんなストレスのせいか、中学時代の花凛は、姉からは逃げるようにテレビゲームやお菓子に走り、不貞腐れるような生活を送っていた。

しかしそんなある日、父親がこんな言葉を放ったという。

「花凛、ちゃんと嫁に行ってくれさえすればいいからな。そのためにはちょっと、あれだな、もう少し普通にならんとな」

自分はいたって普通だと思っていた花凛は、父親の言葉の意図がよくわからなかったのだが、ふと鏡に映った自分を見て愕然とさせられた。

「びっくりしちゃいました。気づかない間にかなりの太ってて。しかも、その様子を姉がどこか鼻で笑うように眺めていたんです。その時に心に誓いました。“絶対に姉を見返してやる”って」

花凛の中でプツンと何かが切れ、姉を超えてやる、という決意をしたのだった。

姉が音楽の道に進むのであれば、せめて学歴だけでもと思い勉強を真剣に始めた。もともと小学校から私立の女子校に在籍はしていたものの、成績は平均的だった花凛。だが、高校へ入学すると同時に、勉強に一心不乱に打ち込むようになった。

もともと地頭がよかったのであろう、みるみる成績があがっていったという。

「目に見えて成果がでるのってすごく楽しくて。姉に勝ちたいという思いから始めた勉強でしたが、案外楽しかったですね」

当時を懐かしむように、イキイキとした表情で語る。

そして、花凛は見事、東京大学文Ⅱの現役合格を勝ち取った。

家族は大喜びしたと同時に、「まさか花凛が東大に合格するなんて」と驚きを隠し切れない様子だったそうだ。

「その時ようやく、家族に誇れるものが自分にもできたという思いになりましたね」

そして、大学入学後は自然と体重も落ち、花凛は平均的な体型に戻っていた。

もともと顔立ちの綺麗だった花凛は、ついに、姉に勝るとも劣らない才色兼備となったのだった。

その後、就職を機に、今度は姉を超えていくことになる。

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