毎回乗ってくる“車と男”が違う人妻。彼女が選択した、幸せの形とは

彼女が乗ってきたマクラーレンの男性は、降りてくるなり「いや~意外に乗りやすいね」と笑いながら嬉しそうに彼女の手を取っている。

「うふふ、そうでしょう?この675LTは、殆ど走っていない極上車よ。お約束通り3,500万キャッシュで宜しいかしら?」

彼女の仕事は、スーパーカーの中古車販売業なのだろうか?

「私は、こういう車を欲しい人と売りたい人同士を引き合わせているだけ。その後、個人売買が成立しても私は1円も貰ってはいないわ」

そんな彼女の職業は、駐車場の経営者だという。といってもコインパーキングや一般的な月極駐車場ではない。スーパーカーなどの「高級車専用ガレージ」の経営だ。

しかも彼女は20代の頃カーレーサーとして、各地のサーキットを走っていた経験を持っているという。

「もともと、岡山県出身なのですが、車好きな父に連れられ小学生の頃からカートを走らせていました。そのままサーキットの世界で男性に混じってレースに参戦していました。実は私、車パーツメーカーのポスターモデルにもなったことがあるんです」

その写真を見せてもらったが、レーシングスーツを身にまとい、ヘルメットを小脇に抱えて車に身体を寄せている彼女は確かにカッコイイ。

サーキットは、元々富裕層が集う車遊びの場。レースで勝つための十分な体制を作るとなると、必要な資金はかなりの額になる。彼女の実家は岡山で小さな会社を経営していたが、レースを続けるにはスポンサーがいないと成り立たなかったという。

「当時女性のドライバーはとても珍しく、加えて良い結果も残していたので企業スポンサーも集まりやすく、レースを続ける事ができました」

彼女が結婚した相手は、その同じレースに参戦していたライバルのうちの1人だった。当時彼女は26歳、彼は32歳。彼の父親は全国に支店を持つ倉庫運輸業の代表であり、彼は親の会社をメインスポンサーにしてレースに参戦していた。

「レース仲間が住んでいる所は、北海道から九州まで様々でした。レースとなるとお互いに敵ですが、車を降りれば同志のような関係です」

そうやってサーキットで知り合った二人だというが、どのようにして恋に発展したのだろうか。

「恋というか、夫から積極的にアプローチされたのです。周囲からも、おまえのようなじゃじゃ馬女を好きになる奴なんて他にいないから結婚しておけ!と強く勧められました」

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