2019.03.30
日本人の2人に1人が「がん」になるといわれている現代。医療の発展により、「がん」と共生する人は増えてきている。
だが、当事者ではない人々からの「がん」への理解が進んでいるとは言い難いのが現状だ。それゆえ、がん患者は孤独を感じ、前向きになりにくい傾向にあるという。
そんな状況を変えるべく活動しているLAVENDER RING(ラベンダーリング)は「がんになっても笑顔で暮らせる社会」を目指し活動するボランティア団体だ。そんな彼らが3/30(土)の今日、港区とタッグを組み大規模なイベントを行うという情報をキャッチ。主催者に詳しく話を聞いた。
がんになっても孤独にならないで!共生する道を一緒に探そう!
本イベントを主催するLAVENDER RINGは、すべてのがんを表す色とされるラベンダー色をシンボルに、2017年8月に東京で初めてイベントを開催。
がんへの正しい理解を広めるべく活動している。本日開催される「Minato City LAVENDER RING DAY2019」も、そのひとつだ。
このイベントは、がんにかかったことで孤独になりがちな「がんサバイバー(がん罹患経験者)」と、サポーターが1日同じ空間で過ごす中でお互いの理解を深めたり、患者同士でつながりを作ることを目的としているという。
同僚ががんになったことが、活動スタートのきっかけに
「がんを『死』と直結して考えてしまう人がとても多い。でも、がんを克服し共生しながら自分らしく暮らしてる人はたくさんいます。そんな方々の笑顔を多くの人に知って欲しくて、この活動を始めました」と、LAVENDER RINGのメンバーは語る。
この思いに至るきっかけになったのは同僚が、がんにかかったことだったという。「ある日、上司のPCに『FIGHT TOGETHER』という文字と同僚の写真が入ったステッカーが貼ってあるのを発見しました。これは何ですか?と質問すると、実は写真の同僚ががんにかかった、と聞かされました」
「ステッカーを貼ることで、目にした人が興味を持ち自然とがんの話になる。そして、聞いた誰もが、これまでの自分最大化的な働き方から同僚が治療と仕事を両立できるようにサポートする働き方へと変化する。それは結果的にチーム全体の力が向上していくドライバーになりました」
社会のがんに対する偏見も変えていきたい・・・
「そこから次第に、社会活動として展開できないか?と考え始めました。日本では二人にひとりが、がんになるにもかかわらず、いまだ就労や勉強との両立が難しい風土と制度があります」
「社会の偏見を変えていくためにも、がんになっても仕事や趣味などをあきらめずに生きている人たちの姿を発信したらどうだろうか、というアイデアが出てきました。そこから、これを形にするべく、賛同するメンバーが増え、どんどん活動の輪は広がって行きました」
「2017年の夏に発足してから2年。今年は港区もこの輪に加わり、さらにパワーアップします。がんとポジティブに向き合うLAVENDER RINGの思想は、『育児』や『介護』と就労や勉強の両立など、まだ実現が難しいと感じられているテーマの捉え方にも通じるなとも感じています」
「サバイバーの方だけでなく、サポーターの方も、より良い社会の実現のために自分が何をできるかを考えるキッカケになるイベントにもなると思っています。ふるってご来場ください!」
イベントでは前出のメイクイベントなどに加えて、サバイバーや医療関係者の「がん」についてのリアルな声が聞けるトークショーや、大人も子供も楽しめるがんについてのかるたを作るワークショップなども開催。
様々なコンテンツがあり、一日中楽しめる充実したイベントとなっている。
過去のイベントでは「がんサバイバー」のインタビューも!リアルな体験談は心揺さぶられる発言ばかり!
ここでは、過去のイベントで行われた「がんサバイバー」へのインタビュー動画を掲載したいと思う。彼らが生の声で語るリアルなエピソードには、心揺さぶられる多くのメッセージが含まれていた。
◆渡部亮さん(SAJスノーボード デモンストレーター)
「スノーボードをしたいという強い思いが支えになりました」
2015年にステージ4の舌がんと告知され、舌半側切除。退院直後の全日本スノーボード技術選手権では一般の出場者を相手に上位入賞し、スノーボードデモンストレーターに選ばれる。翌年の同大会では準優勝したトップアスリート。
「がんが発覚した当初は、舌の3分の1を切除すれば大丈夫という話だったので、そこまで深く考えていなかったんです。でも、それから一カ月後に再発しリンパにも転移、ステージ4と言われました。そして、その後の5年生存率は45%と言われまして。それを聞いたときはいよいよかぁとショックを受けてしまいましたね」
悶々としたした日々が進んでいくうちに、どんどんとスノーボードをしたいという思いが湧きあがり、奮起できたのだとか。「冬が近づいてくるのにつれてスノーボードをしたい!という気持ちが湧きおこってきました」
「スノーボードをしたい!スノーボードのデモンストレーターになりたい!という夢があったからこそ、がんを乗り越えることができました。だから、皆さんには夢を持ってもらいたいと思います。つらい時に夢があると、それが支えになります」
◆松永真里さん(主婦ときどきタロットリーダー)
「やりたくないことはしない。やりたいことを早くやろう!」
「このまま治療をしなければ3カ月です」こんな衝撃の告知を受け、ショックより驚きのほうが大きかったという松永さん。
入院生活を続ける中で、松永さんが気付いたのは「やりたくないことはしないほうがいい。それよりもやりたいことを早くやろうということ」だという。
「私はがんになったことで、これまでの生き方を変えなさいと言われた気がしました。他のがんの患者さんを見ていると『どうして、私ががんになったんだろう』って、がんになった理由を探してしまう人が多いんだなぁと思っていて」
「だけど、私は理由なんてないって思っていて。何かをしたから、何かをしなかったからなった、何かをしたから治るっていうものではないんじゃないかなって実は思うんです」
「ただ、がんになったという事実を受け入れるしかない。それで、どうするか。だから、再発はあまりに気にしないで欲しい。なってもいないことを気にしない。再発したらどうしようって考えることが無駄じゃないかなって思うんです。それ込みで私だから」
◆大塚晶子さん(左・保育士)と澤田有希さん(右・理学療法士)
「がんにかかった人の手助けになるよう生の情報を発信したいです」(澤田さん)
大塚さんも澤田さんも、がんの告知を受けたあとはしばらくはふさぎこんだという。だが、生活をする中でその気持ちに変化が表れてきたのだそう。
「がんになってから、ひとつひとつ丁寧に相手に思いやりを持って伝えなければいけないなって思うようになりました。今に感謝して今を一生懸命に生きたいです」(大塚さん)
「がんになったときは、おしまいやって思いました。医療者の私ですら、そう思ったんです。そんな時、友人が高級なレストランに連れて行ってくれたんです。その時に、『また来年も絶対にここに来よう』と奮い立ち、がんと向かい合う覚悟をすることができました」(澤田さん)
「がん=死とは思いたくない。その思いに食われてしまうと早いかなって思うんです。すぐ死んでしまう病気ではないし、気合でどうにかできる病気ではない。だからこそ、闘病しながら仕事を頑張ってる人たちが理解され、生きやすい世界になって欲しいです」(大塚さん)
「ネットを調べれば、がんについてのネガティブなことばかりが出てくる。でも、私がSNSで情報を発信することで、前向きに捉えてもらえたらいいなって思います」(澤田さん)
「がん」についての正しい知識を得ることで、がんへの意識は変えられる!
人の数だけ、ドラマがある。だが「がん」は、そのドラマに暗い影響をもたらしかねない病気だ。
上記した話にもあったが、がんという病が持つマイナスなイメージに、引っ張られてしまう人が多いというのは事実だろう。だが一方で、がん宣告されてもポジティブに人生を謳歌してきた「がんサバイバー」という人たちがいる。
東京カレンダーは、現代を生きる人々のリアルを伝えることを信条としたメディアだ。そんな我々だからこそ、このようなイベントを紹介することに意義があると考えた。と同時に、彼らが目指す理念に東京カレンダーの読者も共鳴してくれるだろうとも。
このイベントに参加して、「がん」について自分のことと考えてみて欲しい。
イベント概要はこちら!
◆イベント名:Minato City LAVENDER RING DAY2019
◆開催場所:郷土歴史館等複合施設(ゆかしの杜)(東京都港区白金台4-6-2)
◆イベント内容:誰でも入場可能で、無料で楽しめるオープンフリーのイベント。『MAKEUP & PHOTOS WITH SMILES』『写真展』『LAVENDER トーク』『LAVENDER RING AWARD』『サバイバーみんなで作る動画』『がんかるた制作』『ブロックチェーンでつなげる・ひろがる がんサバイバーの輪』『Survivors group photo』など多彩な内容を予定。
◆主催:港区/LAVENDER RING
◆サポーター企業/団体:株式会社 資生堂、株式会社 電通、株式会社電通国際情報サービス、株式会社電通ライブ、認定NPO法人 キャンサーネットジャパン、一般社団法人ソーシャルアントレプレナーズアソシエーション
◆イベントの概要はこちらからご確認いただけます。
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