略奪愛 Vol.11

「あなたに、夫は渡しません」略奪愛を企む女に突きつけられた、正妻からの宣戦布告

本妻の帰国


12月25日。

すでに最終出勤日を終えた私と、妻を空港に迎えに行くため半休を取得している大谷は、ゆっくりとその朝を迎えた。

しかし私は眠ることができず、結局一睡もできぬままだった。

ついにやってきてしまったこの日。

何事もないよう振る舞うつもりだったのに、胸がざわざわと嫌な音を立てては私にマイナスの想像をさせる。

ついに、大谷の妻が帰国する。そして今日からしばらく大谷はここに戻ってこない。赤坂の自宅へ戻り、年末年始を妻とともに過ごすのだ。

夫婦の電話を盗み聞きしてしまった夜、大谷は私に嘘をついた。

しかし暴露メールの一件があった後、妻が上海から一時帰国する予定であることを改めて教えてくれた。そして、その際にきちんと離婚の話し合いをすると約束してくれたのだ。

「心配しないで。俺の気持ちはもう決まってる。明日香とずっと一緒にいられるように、きちんとしてくるから」

大谷は何度も繰り返しそう言ってくれたし、私も以前のように半信半疑ではなく、彼を心から信頼するようになっていた。

しかしやはりいざ彼が妻の元へ戻るとなると、言いようのない不安に襲われる。このまま戻ってこないかもしれない。何度追い払っても、その考えが頭から出て行ってくれない。

居た堪れず、私はまだ隣で眠る彼の腕にぎゅっとしがみついた。

「…どうした?」

そんな私に気づいた大谷が、寝起きにも関わらず優しい声を出した。寝返りをうち、そのまま私をぎゅっと抱きしめる。

「お願い…やっぱり行かないで」

大谷の胸に顔を押し当て、私はそう懇願した。わかっている。それが無理な願いであることは。しかしどうしても言わずにいられなかった。

「大丈夫、絶対に戻って来るから。俺を信じて」

大谷は私を再び力強く抱き寄せる。そして何度も何度も頭を撫でてくれた。

しかしそれでも、私の胸のざわつきが収まることはなかった。嫌な予感がする。

そして…案の定、その予感は的中した。


突如見知らぬ番号から着信があったのは、大谷が赤坂の家に戻って2日後のことだった。

その夜、私はリビングのソファでとある資料に目を通していた。

「自分のせいで明日香の仕事を奪ってしまった」と責任を感じた大谷が、前職の同僚が立ち上げたイベントプロデュース会社の職を紹介してくれ......


【略奪愛】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo