表紙カレンダー Vol.38

白金の夜に波瑠を誘い出したら、洗練された大人の空気と透明感に目が離せなくなった!


だからなのかもしれない、波瑠さんの演技が自然体なのは。最新の主演映画『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』においてもそうだ。

夢と希望に溢れて一流企業に就職した女性が、系列会社が運営する地方の遊園地に配属されて、理想と現実の狭間で成長していく姿を描いた本作は、SFやアクションのように、奇抜な展開があるわけではない。

そのため、役者の力量が試されることになるが、波瑠さんは、主人公・波平久瑠美としてあるがままにスクリーンに存在していた。

「共演した西島秀俊さんにも助けていただきました。西島さんが演じる『小塚さん』の、くしゃっとした笑い顔は、普段の西島さんのもの。私と一対一のシーンでは、常に私の目を見て、言葉を聞いていてくださっていて、うれしくなりました」

波瑠さんの言うことは、当たり前のようにも聞こえるが、実は意外と難しいのかもしれない。

人は、とかく型を決めたがる。予め計算しておくと安心だからだ。でも、目の前のことに反応する方が、空気が生き生きするのも事実。

そのためには時として勇気が必要にもなるが、インタビューの冒頭から、真っ直ぐこちらの目を見て話してくれる波瑠さんによって、いつの間にか思うままに質問したくなっていた。そこで頭をよぎったのが、彼女の結婚観である。


波瑠さんは今年27歳だ。時代が変わり、社会の在り方が変わり、今や「結婚適齢期」という言葉は死語になりつつあるが、やはり女性は、周囲が結婚し始めると「自分も早く」と焦りがちになる。

まさに、その只中にいるのであろう彼女は、一体、どんな心境でいるのだろうか。

「結婚はしたいですけど」とだけ言って、波瑠さんは口をつぐんだ。どことなく適切な言葉を探しているように見えたが、次の瞬間、きっぱりした口調でこう話し始めた。

「中学時代、高校時代の友達のほとんどが結婚してしまい、これが取り残されるということなのかとしみじみしましたが、それでも、今すぐしたいかと言われたら、そうじゃない。私は仕事を引き合いに出して尻込みすると思います。どこか仕事に憑りつかれているんです」

それというのは、きっと、波瑠さんが今を手に入れるまでにコツコツと下積みを重ねてきたからだろう。努力して手に入れたものほど愛おしい。そういうものではないか。

「この間も母に言われました。『女優はひと握りの人しかできない職業なのに、そのひと握りにあなたが入っているなんてね』って。その通りです。私は取り立てていい素材を持っているわけではありませんから」

それを聞いて思う。彼女は謙虚なのだ。他には真似できない特別な何かを持っていても、決して振りかざすことなく、常に控えめ。波瑠さんの凛とした瞳を見て、この白金の街にぴったりだと、改めて思った。

■プロフィール
波瑠 1991年生まれ。東京都出身。2006年女優デビュー。セブンティーン、ノンノ専属モデルを経験し、15年『あさが来た』でヒロインに。『未解決の女 警視庁文書捜査官』『サバイバル・ウェディング』出演後、最新作に映画『オズランド』(10/26公開)がある。

■衣装
【波瑠さん】コート¥99,000、プルオーバー¥16,000、バッグ¥45,000、バングル¥17,000〈すべてTOGA PULLA/TOGA 原宿店 TEL:03-6419-8136〉
【男性】ジャケット¥98,000〈ビームスF〉、チーフ¥6,800〈エレディ キャリーニ/ともにビームス ハウス 丸の内 TEL:03-5220-8686〉、ニット¥25,000、パンツ¥19,000〈ともにデザインワークス/デザインワークス 銀座店 TEL:03-3573-6210〉、バッグ¥33,000〈ザディレッタント×デザインワークス〉、メガネ¥30,000〈ギャレット ライト/コンティニュエ TEL:03-3792-8978〉

■クレジット
Photos/Akira Maeda@MAETTICO, Styling/Miyu Irie, Yuichi Sato(men), Hair&Make-up/Ai Inuki, Kanae Ito(men), Text/Mio Amari

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