男女が賑わう平日夜の恵比寿ほど、1人で歩いて寂しい場所はない。
だが、膨大な仕事を終え疲れ切っていた俺は、今夜だけは、ひとりでしっぽり飲みたい気分だった。
浮き立つ人々から逃れるようにして、いつもの店の扉を開ける……。
するとそこには、濡羽色(ぬればいろ)という言葉がよく似合う、艶やかな黒髪の美女が先客でいた。
彼女の名前は、繭(まゆ)と言うー。
ほろ酔い美女を紹介する「東京美女酒場」。1回目の今日は、タレントの繭(まゆ)さんが登場してくれた。
「いらっしゃい」
この店のマスター・スーさんの挨拶も頭に入ってこないほど、俺は一発で彼女の瞳に吸い込まれた。
動揺を隠しながら、空いている席を探す。
すると幸か不幸か、ソファー席で彼女と相席状態に......
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