港区女子に芽生える違和感。元モデル・現ヨガ講師の運命を変えたのは「あの街」だった

六本木、西麻布の華やかさを愛する港区女子。煌びやかな夜に慣れきった彼女が、港区とは対極にある街の最高峰、代々木上原に出会ったら――。

31歳、永遠に続く宴なんてないと気づき始めた女の物語。

31歳。小さな違和感


「乾〜杯!」

シャンパングラスを重ねる音が、個室に鳴り響く。キラキラと黄金色に輝くシャンパンを見ながら、小さくため息が漏れた。

「あれ? どうしたの? シャンパン嫌い? な訳ないよね」

話しかけてきたのは、〝THE・港区男子〞の賢介だった。

赤坂にある外資系コンサル会社勤めで、誂えたであろうスーツは彼の体型によくフィットしている。時計も軽く100万超えのものをしており、今日の会も彼が主催だった。

「奈緒ちゃんは、仕事何してるの?」

「元々モデルをしていましたが、今はヨガ講師をしています」

「元モデルでヨガ講師、ねぇ…」

頭のてっぺんから靴の先まで、賢介のジャッジするような視線を感じ、慌ててシャンパンを飲み干す。

華やかな女性陣に、艶やかな男性陣。港区にあるこの高級バーの個室は夜な夜なこんな人達が集っており、ここ数年間永遠に同じことの繰り返しだった。

毎晩誰かがこの街に集い、宴が繰り広げられている。

この街は、華やかで美しい。

でも、それは本物の美しさなのか。それとも誰かの空虚な心を満たすために絵の具で彩られた架空の華やかさなのか…。

最近、分からなくなっていた。

「今度、ご飯行かない? 再来週の木曜に、予約の取れない店の予約が取れているから、連れて〝行こう〞か?」

「行きた〜い♡さすが賢介さん!」

賢介の誘いに笑顔で答えるものの、心はザワザワと音を立てている。最近、胸のザワつきが突然来ては突然去る。

以前は、大好きだった港区。でも今は、なんだか違う思いが湧き上がっている。

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