銀座の気鋭店がぞくぞく Vol.2

ギンザコジュウ

銀座小十

ゆったり設えた移転先で目指すもっと上をもっと変化を

左.鮎の塩焼き

右.あわびのそうめん。おろし金でおろした生あわびを出汁でのばした泡で、塩、淡口しょう油で味を調えた出汁に沈めたそうめんを閉じ込めた。肝ソースの苦みがアクセント

「9年やればあらかたは見えてくる。だからといってくり返しに流されるのは、いやだったんです」33歳で構えた銀座8丁目の店を出て、この6月、奥田透氏は『小十』を5丁目へと移転させた。

前店では上客も三ツ星も手に入れた。現状維持の意義も知った。だが、奥田氏はよくも悪くも「まとまってきた自分」に問いかける。「このままで、いいの?」と。40を過ぎて、体力も少々落ちた。あんなに大事にしてきた食器たちに、距離感を感じ始めた。一方で、変化と刺激を求める内なる声は大きくなるばかり。

「西岡小十さんの器でも、もったいなくてしまっていたものを、この店では使います。魯山人のものもね。格を、合わせる時が来たのだと思うのです」腕と人格と設えと器と、もちろん、料理。どれかが突出し、いずれかに落ち度があっても、店はまとまらない。乱調に美はあっても、格調はない。

「この店を"乗りこなせたら"、次の10年がまた、あるはずですから」もっと上を目指したい。そのシンプルな欲求に突き動かされ、奥田氏の味はここでまたひとつ階段を昇る。


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