ハイスペ婚の履歴書【夫】 Vol.3

「僕、ATMにすらなれない」港区ではランニングコストしか払えない商社マンの悲哀:ハイスぺ婚の履歴書【夫】

好き、じゃなきゃ結婚できない。
でも好き、だけでも結婚できない。

東京で勝ち組でいつづけるには生まれ・学歴・収入・ビジュアルが複雑に絡んでくる。欲望と打算と、認めたくない妥協と。

勝ち組と言われる結婚をした夫婦たちは、どう折り合いをつけハイスぺ婚に至ったのか?

披露宴で聞かされる新郎新婦の馴れ初めなんて、正直もう聞き飽きた。

ハイスペ婚に辿りついた夫婦たちの、これまでの人生とは?

港区ネイティブ妻、に青田買いされるまでの英樹の半生を見てみよう。


『バー ブーツ』のカウンターで、英樹は32歳とは思えない哀愁を漂わせながらウィスキーと睨めっこしていた。

純和風のさっぱりとした顔立ち。嫌われない代わりに覚えてもらえないタイプの顔である。パリっと糊の効いたブルーのワイシャツの快活さだけが妙に浮いていた。



働き方改革の一環とかで20時前にはオフィスを出なきゃいけないので、最近困ってるんですよ。

あ…仕事が終わらないとかじゃないですよ?そんな早く家に帰らされてもねぇ。なのでここに毎日寄るようになっちゃって。もはや家より落ち着きますね。

東京の家賃が高いことは覚悟していましたが、想像以上でした。僕は、入社と同時に独身寮に入って、東京で一人暮らしをしないまま結婚したのですが、舞が新居にと見つけてきた白金のマンションの家賃は20万円。

彼女に恐ろしさを感じ出したのは、この時からかもしれません。自分が商社で一般職として働いていた時の手取りと同じ金額のところに住もうと平然と言ってくるなんて、信じられます?

僕は愛媛県の松山出身です。就職を期に東京に出てきましたが、東京の人って四国をひとつの県だと思っているふしがありますよね。毎回、四国の左上ですって説明しなきゃいけなくて。

松山にいた頃は、都会にさえ行けば何者かになれるんじゃないかって信じていたので、それをモチベーションに勉強にあけくれた学生生活でした。一応、人並みに男女交際もしましたよ。

学生時代付き合っていたのは、高校の後輩だった紗子という子でした。お互い松山を出たいっていう思いがあったからか、気があってね。

紗子は真面目な優等生って感じで化粧っ気もないし、正直憧れていた恋人像とは全然違いましたが、まだ何者でも無い自分には気が楽な相手でした。

商店街でプリクラを撮ったり、観光客みたいに坊ちゃん団子を食べたり、恋人の真似事のような清らかな交際をしていました。

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