人事部は見た! Vol.6

人事部は見た!:仕事の悩みを本音で話せる人、社内にいる?信じられる同僚が必要なワケ

人事部ー。

社内の人間模様や、人間の黒い欲望に直接触れることもある部署。

人事部から見た社内、それは人の業が蠢く社会の縮図であった。

涼子が働く恵比寿のベンチャー企業では、管理本部長・坂上の社内システム入れ替えのミスを、総務課長の後藤になすり付けるための黒い思惑にまみれた、人事異動が発表された。

ある日、総務課長後藤と営業部次長の平山と会議室の密会に潜入すると、後藤が退職を検討していることを知り、涼子はショックを受ける。


「ちょっと待ってください。責任を取って辞めた場合って、本気ですか?」

涼子は黙って聞こうと思っていたのだが、後藤さんの話に思わず割り込んで聞いてしまう。

「ビックリさせてすみません。万が一です。本当に責任を取って辞めないといけなくなった時、なので今すぐではありません。ご安心下さい。」

後藤さんの言葉に、涼子はホッとし、深呼吸して呼吸を整える。

後藤さんは話を続けた。

「3ヶ月後、システム入れ替えの進捗がなく責任を問われた場合や、総務部みんなに益々危害が加わるような、そんなことがあった時ですね。

それに私も家庭があります。部下はもちろんですが、家庭に影響があるようなことは避けたい。なので、辞めなければならなくなった時に行動を始めては遅いので、今から行動しようと思っているのです。」

後藤さんはゆっくり、涼子に語りかけるように、諭すように話す。その目は真剣だった。

「まぁ、最近とても忙しくて動きにくいので、営業次長の平山さんに情報収集をしてもらっているのです。」

平山さんが隣で頷く。

-誠が、最近平山さんに空アポが多い、と言っていたのは、後藤さんのためだったのね…

後藤さんのために、平山さんが動いているとは思いもしなかった。

むしろ、腹を立てていると勘違いしていた自分を、涼子は恥じた。

「まぁ、まだ転職先として目ぼしい企業は見つかっていないので、システム入れ替えは引き続き頑張らないとダメなんですけどね。」

後藤さんがお茶目にニッと笑う。

「おいおい、もっと情報収集しろって、俺に対するプレッシャーか?」

平山さんの言葉に、後藤さんが笑う。本当にいいコンビだなと改めて思った。

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