エーデルワイフ Vol.7

女たちから羨まれる苦労知らずのお嬢妻が、唯一持っていないもの

自由は自立とともにある


この日のレッスンでは、ようやく半分の深さまでバスケットを編み上げることができた。

まだ先は長いが、完成形が見えてくると俄然やる気が出る。

正直なところ千晶自身、自分が「エーデルワイス」に通い続けるとは思っていなかった。

教室に集う生徒たちとの関係は深まってきたものの、やはりどう考えても千晶だけ毛色が違う。

レッスン中に交わされる会話のほとんどは、家庭の話だ。もしくは、オススメのお取り寄せスイーツ情報。

家庭の話はもちろん甘党でもない千晶はまったく関心を持てず、ひたすらバスケットを編む作業に没頭している。

それでもこうしてほぼ毎週訪れている理由は、やはり千晶がエーデルワイフと名付けた、高貴な女性・雪乃の存在が大きい。

結局、雪乃のプライベートは未だ謎のままだ。

彼女のような女性がどういう人生を生きているのか、興味をそそられる。



「千晶さん、良かったらこの後少しお茶しません?」

レッスン終了間際、結衣に声をかけられた。

先日、千晶は結衣の夫に関する疑惑を追及してしまったから警戒しているのではないかと思っていたが、彼女の表情は普段と何も変わらない。

「もちろん、ぜひ」

千晶が即答すると、結衣は顔の前で両手を合わせ嬉しそうに笑った。

「嬉しい♡」

そのいちいち可愛らしい仕草も、これまではわざとらしく感じ冷ややかに見ていた千晶だったが、今日は不思議と寛容になれる。

それはやはり、雪乃のいうとおり「良いこと」があったからかもしれない。


「千晶さんって、どんなお仕事をされてるの?」

帰り道に立ち寄ったプラチナ通りの『アーヴィング プレイス』で、結衣はしきりに千晶の仕事の話を聞きたがった。

つい先日やり遂げた某家電メーカーの発表会のことなどを話すと、「すごーい」「かっこいい」などと大げさに感嘆する。

......


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