私、美人じゃないのにモテるんです。 Vol.16

私、美人じゃないのにモテるんです 最終回:2年間恋人を待ち続けた女の、恋の結末

―美人じゃないのに、なぜかモテる。

あなたの周りに少なからず、そういう女性はいないだろうか?

引き立て役だと思って連れて行った食事会で、全てを持って行かれる。他の女性がいないかのように、彼女の周りだけ盛り上がる。

「クラスで3番目に可愛い」と言われる化粧品会社勤務・莉乃(27)も、まさにそんな女だった。

健太郎は莉乃に、陽菜と2人で会っていたのには事情があったこと、そして莉乃を1度ふったのは海外留学をするためであったことを伝え、改めて告白した。遠距離恋愛からスタートした2人の、2年後とは。


健太郎が留学に行ってから、2年後


春と夏の間の、湿り気を帯びた6月はじめの夕方。

昼過ぎに雨はやんでいたが、アスファルトに溶けこんだ生温かな匂いは、まだ残っている。莉乃は、雨が残していくこの優しい気配が、とても好きだ。

軽やかな足取りで、『オーボンヴュータン』の扉を開けて、店内を見渡す。

「…もう、来てたんだ」

嬉しそうにつぶやく莉乃の視線の先には、コーヒーをゆっくりと味わうように飲む健太郎の姿があった。莉乃の声に健太郎がふり向き、ほほ笑む。

「一便、早められたんだ」

健太郎の柔らかい声に、莉乃は喉の奥がじんとするような、たまらない気持ちになる。

おかえりなさい、と、ひと言だけ発するのがやっとだった。

健太郎を待つ2年間は、終わってみるとあっという間だった気がするが、やはり、とてもとても長かった。

「日本での再会の場所をここにできて、よかったよ」

健太郎は嬉しそうにそう言って、店内を見渡す。

ここは、莉乃が2年前に健太郎に渡した手紙の中で一緒に行こうと誘っていた、あのお店だ。結局、記念イベントが終わった後は留学準備が忙しくて時間が取れず、行けずじまいになっていた。

「2年越しに約束を果たすというのも、なんだかすてきだよね」

莉乃も、照れたように笑いながら、オーダーをしてくるね、と席を立つ。

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