表紙カレンダー Vol.22

30歳目前にして、無敵状態の中村アンが抱える“苦悩”。「今、気持ちがとても揺れ動いています」

数々の雑誌の表紙を飾る人気モデルである一方、最近では立て続けにドラマ出演。

中村アンはどこへ行く?と本人にぶつけると分岐点を迎える女性の本音が聞こえてきた。


「初めてのひとり暮らしは目黒。思い入れはやっぱり強いです」

目黒を特集した「東京カレンダー」7月号撮影のため、中村アンさんと待ち合わせしたのは東京・目黒川のほど近く。当日はあいにくの雨降りだったが、彼女が姿を見せた途端、そのトレードマークとも言えるとびきりの笑顔によって現場はたちまち華やいだ。

「私にとって目黒は思い出の街。20代前半の頃、ここでひとり暮らしを始めたんです。桜の時季になると目黒川沿いを散歩したりして……そうだ、権之助坂にある焼き鳥屋には度々出かけました。ひとりで気軽に入れるお店も多くて、住み心地が良かった」

そうして、中村さんはまた笑った。思わず見とれてしまうほど伸びやかな笑顔だったので、その印象をストレートに伝えると、「旅のおかげかもしれない」と彼女は言った。

「この数年間、頑張って働いてきたご褒美にと10日間のお休みをいただいたので、ニューヨークへ行ってきたんです。毎日1万歩以上歩いてさまざまな刺激に触れて、その結果、今の自分に足りないものが見えたような気がする。すごく意味のある時間になりました」

今の自分に足りないもの――中村さんの発言はどことなく意味深で、その真意を確かめたくなったが、思い直して、まずは敢えて別の質問をぶつけてみることにした。それは「『中村アン』は、この先、どこへ行くのか?」というものだ。

現在、彼女はモデルとして活躍し、その飾らないキャラクターでバラエティ番組にも頻繁に登場している。その一方で、近頃は女優としての活動も目覚ましい。2015年10月からは6期続けて連続ドラマへの出演を果たした。今後は女優に転身するつもりなのだろうか。

「私がここにいて本当にいいんだろうか。ドラマの現場では常にその不安と隣り合わせでした」

中村さんの口からこぼれ出たのは謙虚な言葉だった。そして、呟くように次の言葉を継いだ。

「何か新しいことにチャレンジするとき、なかなか前向きになれないんです。現場に行ったら腹を括ってえいやっとなるものの、そこに至るまでが実は大変。バラエティ畑からやって来た私が演技するのを見て、人はどう思うだろう。そう考えてはドキドキしていました。バラエティについても同じ。喋れなかったらと思うと怖かった」

意外な気がした。「中村アン」と言えば、今やヘルシービューティの代名詞であり、「ポジティブ」という言葉がぴたりとハマる存在だ。

にもかかわらず、当の本人から繰り出される言葉は、そのイメージから離れたものである。しかしながら、それがかえって彼女の正直さを際立たせ、親近感を湧かせてくれるから、なんとも興味深い。

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