東京マザー Vol.5

完璧主義の女性は要注意。夫が洗った食器を、あとからこっそり洗い直す妻の葛藤

子を産み、子を育て、家を守る。

昔からあるべき女性の姿とされてきた、“良妻賢母”。

しかしその価値観は、現代においてはもう古い。

結婚して子どもを産んでも、男性と同等に働く女性が増えた今こそ、良妻賢母の定義を見直す時だ。

家庭も、仕事も、子育ても、完璧を目指すことで苦しむ東京マザーたちが模索する、“現代の良妻賢母”とは、果たしてどんな姿だろうか。

育休から復職し、時短勤務がスタートしたレコード会社勤務の佳乃。現実は思っていた以上に厳しく、夫婦関係に亀裂が入りかけるのだった。


佳乃は、子どもの頃からたくさん褒められて育った。

「手のかからない良い子」

3つ上の兄と比べて、親や親戚たちからそう言われ続けてきた。

だから佳乃はいつも「良い子」でいなければならないのだと、無意識のうちに自分に言い聞かせていた。

両親の期待に応える。両親をがっかりさせるようなことはしない。そのための努力は惜しまなかったし、大して苦にも思っていなかった。

何事も器用にこなすことができたため、勉強も、部活も、友人関係も、手を抜かずに頑張っていれば「良い子」でいることができたからだ。

だから結婚してからも「良い妻」でいることは、佳乃にとっては当然のことであった。

結婚前と同じように仕事をこなし、家庭の雑事も手を抜かない。

キッチンは、マンション購入当時と同じようにいつもピカピカで、余計なものは目につく場所に置かない。

例えば急にインテリア雑誌から取材のオファーが来たとしても、いつでも対応できるくらいに、それは整理整頓されていた。

たとえ子どもが生まれても、自分ならこのスタイルを崩さずに今まで通りやっていける。

そんな自負があった。復職するまでは。

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