東京から恋が消える日 Vol.4

恋よりも、コミットしたいものがある!?自分磨きに狂う女の知られざる過去

恋をしない男女が増えている。

それは、決して感覚値ではない。

国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、18歳から34歳の独身男性約7割、独身女性約6割に交際相手がいないという。

しかし今や、デーティングアプリなどでも異性と簡単に出会える時代。

何もかもが揃った、2017年の東京。

いや、何もかもが揃ってしまったからこそ、人は、恋に落ちなくなったのかもしれない。

東京から、恋が消えかかっている。

東京から恋が消える日も、遠くない。


-だいぶいい感じになってきたな。

お風呂上りに鏡の前に立ち、聡美は惚れ惚れと自分の身体を眺めた。

うっすらと浮かび上がる腹筋に、きゅっとくびれたウエスト。そこからつながるお尻も、つんと上を向いている。

しばらく満足げに自分の身体を眺め、ゆっくりと部屋着に着替えた。

パーソナルトレーニングを始めたのは、半年前。
それは、聡美の恋が終わった時でもあった。

5歳上の次朗さんとは、イベント好きの友人のパーティーで知り合った。30歳を目前に出会いが減っていることに対する焦りもあり立ち寄ったものの、来ると言っていた知人は見当たらなかった。

聡美は、大音量の音楽にかき消されまいと皆が大声で話している雰囲気にどうも馴染めず、ものの5分で帰りたくなっていた。

-挨拶だけして、帰ろう。

わっと笑い声をたてる男女グループをぼんやり眺めながらため息をついている時、話しかけてきたのが次朗さんだった。

「こういうパーティーでそつなく振舞える人っていいなあ、っていつも羨ましく思うんですよね。」

恥ずかしそうにくしゃっと笑う顔を見た時にはもう、恋に落ちていた。

そう、左手の薬指にある指輪には気付いていながら。

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