2017.04.03
和の精神や食材と中華のテクニックとが邂逅
『茶禅華』
ここ1~2年、食の世界で最も面白い動きを見せている料理のジャンルは? といえば、それはまさしく中華料理だろう。マニアックな地方郷土料理や少数民族料理に目を向ける料理人もいれば、フレンチよろしく少量多皿料理の新しいスタイルで勝負をかける店、そして、伝統料理を踏襲しつつも独自のアレンジを加味、現代人の嗜好に合わせたモダンな料理に昇華させている実力派シェフなどなどまさに百花繚乱!
30代の中華料理人たちの活躍ぶりは、目を見張るばかりだ。それは、かつて“腕に覚えあり”の若きフレンチのシェフ(今は重鎮)達が群雄割拠していた頃と、どこかシンクロするようでもある。そう、料理人の個性に惹かれて通う店が増えてきたということだ。そんな中、また一つ、注目すべき一軒が彗星のごとく現れた。この2月10日、南麻布の閑静な住宅街に人知れずオープンした「茶禅華」がそれだ。
元大使館員の住まいだった家を改装した店内は、グレーを基調としたシックなインテリア。ところどころに置かれた古い李朝の調度品や古伊万里の器、中国は明代の皿など、本物だけが醸し出す不思議な調和が、そのままこの店のオーラとなっているようだ。
が、しかし。最も強い輝きを放っているのは、川田智也シェフ、この人に他ならない。 栃木県出身の35歳。調理師学校を卒業して『麻布長江』へ入り、ここで10年、四川を中心に中華料理の基礎を叩き込まれる。普通なら、ここで独立が常套だろう。けれども、川田シェフは予想外⁈の行動にでる。ミシュランの三ツ星を持つ、あの日本料理店『龍吟』の門戸を叩いたのだ。
ここで4年、うち2年は台湾『龍吟』の立ち上げにも参加、副料理長と腕をふるったという。 「中国料理の大胆な旨さに日本料理の滋味深き美味しさを上手く融合させた日本ならではの中華料理を目指したいと思ったんです」静かな口調で、しかし熱い思いうちに秘めながら川田シェフが語る。
“和魂漢才”ーこれが川田料理の根源を成すポリシーなのだ
思えば、豆腐も味噌も醤油も元はすべて中国から伝来したもの。それが、長い年月の中、日本の気候風土や食生活に自然と溶け込み、独自の進化を遂げ、今は日本の食文化に欠かせないものとなっている。それを、川田シェフは現代のレストラン、料理に置き換え表現しようとしているのだ。
ここで供される料理は、季節を追って変わるコース1種類のみ(¥16,000~18,500)。例えば、取材日のメニューは、以下の通りだ。
香菇茶 しいたけ茶
海 皮 くらげ
棒棒鷄 蒸し鷄のごまソース
鮟肝皮蛋 鮟肝と皮蛋
蚕豆扇貝 帆立とそら豆
開水白菜 お湯のように澄んだ雉の極上スープ
四川排骨 梅香豚の四川香り炒め
紅焼排 ふかひれの姿煮
蝦子紅喉魚 赤むつの焼き物 中国江南の香り
姜香蔬菜 チシャトウ、白菜、黄韮の生姜炒め
脆皮鴿子 小鳩 胸肉 台湾香辛料《馬告》焼き
腿肉 五香粉脆皮仕立て
坦坦麺
桂花苺苺 金木犀とベリー
温冷杏仁豆冨 杏仁豆冨 二つの温度で
酸橘湯團 元宵節 酢橘の香りの茹で団子
この記事で紹介したお店
茶禅華
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