世界一の鮨屋の次なる一手は、発酵鮨!ハワイでもっとも予約困難な『すし匠』の全貌に迫る

自家製麹で漬け込んだネタ箱

こちらの米麹を使って、魚を熟成させている

出てくるネタは、モイ、オパ(赤マンボウ)など、日本ではなじみの薄い魚種が大半。ハワイはもちろん、アメリカ本土、近隣の国からも魚を調達。とはいえ、まぐろに関しては日本産を使用するなど、全世界から魚を厳選。

ハワイの高級魚として知られるモイは、米麹で2週間発酵させ、オパのハラスにはフィンガーライムをのせるなど、仕事を加えたネタが多数。

サンタバーバラ産ウニ。肉厚なウニは蒸しでいただく。食感を残した仕上がり

ハワイ産モイ。かつてハワイの王族しか食べられなかったというモイ。米を蒸して、麹を入れ、2週間の発酵を経て、仕上げる。シャリは、赤、白を用意しているが、モイでは赤シャリを使用

ハワイ産オパのハラス、フィンガーライム添え。オパのハラミを酒粕で漬け、フィンガーライムを添えていただく。プチプチとした食感と柑橘の爽やかさが絶妙

大間産のまぐろ。「やはり、まぐろは日本のものが一番と認めざるを得ない」というまぐろ。ヒレ下を2週間エイジング。酸を楽しんでほしいとのこと

また、あらゆる調理法の可能性を広げるために、店舗オープン前にはスタッフを中華やフレンチなどの店に修業に行かせたという。たとえば、こちらのロブスターは紹興酒に漬け込み提供。

様々な料理ジャンルの技法を柔軟に取り入れる、中澤氏の真骨頂とも言える。

中華の手法を使い、紹興酒に漬ける。酔っぱらいロブスターとも言うべき、新たな一品

ロブスターの紹興酒漬けを、さらに塩辛にして提供。否が応でもお酒が進む濃厚な味わい

「アメリカの鮨は足し算が多いので、塩をしたり、昆布で〆たりという江戸前の引き算の鮨を伝えていきたい」と中澤氏。

意のままに魚が手に入る日本に比べ、ハワイではそうはいかない。不自由な環境だからこそ、知恵を絞り、魚の味を引き出す必然性が生まれる。ゼロからの挑戦を経て、辿り着いた唯一無二の境地。その進化は今後も留まることはない。

ホワイトサーモンの松前漬け。ホワイトサーモンを松前漬けにし、海苔で巻いた一品

バンクーバー産ホワイトサーモン。世界的に人気のホワイトサーモン。驚異的に脂が甘く、それとオレゴン産のワサビのコントラストが印象的

ハワイ産ボタンエビ。ボタンエビはおぼろたまごを添えて。取材時のシャリはカリフォルニア産と北海道産を使用。ネタによって白と赤を使い分ける。値段はおまかせで$300~。「安全で美味しい江戸前鮨をアメリカに伝えていきたい」

ボストン産チェリーストーンクラム。チェリーストーンクラムは、ワタを漉し、加えることで旨みを高める。つけ台は南青山『海味』の長野氏が使っていたもの。「彼の魂はハワイで生きている」と中澤氏

おなじみじの角切りのガリには、なんとヤシの木の新芽とハワイ島で獲れたしょうがを使っている

ハワイの定番メニューポキを中澤氏の解釈で再構築。ハワイ産のマグロの漬けは、マカデミアンしょう油を使用。アラスカサーモンはバナナの葉で燻し、オナガダイは昆布〆にして提供

鮨に合わせたい『すし匠』限定の「波花」

日本人の間でも知られてきた「波花・NAMIHANA」。ノースショアに住む平田夫妻が作り上げる芋焼酎だが、この『すし匠』限定がこちら。通常加水して度数を25度に仕上げるところ、加水せずに39度に設定。ロックでぜひ。

【SHOP DATA】
住所:The Ritz-Carlton Residences, Waikiki Beach 8F 383 Kalaimoku Street Waikiki Beach,HI 96815 United States
TEL:808-729-9717
営業時間:17:00~22:30(予約は17:00~/20:00~の1日2回)
定休日:日曜
席数:10席(その他個室もあり)

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Photos/Kazuhiro Fukumoto@MAETTICO, Yasufumi Mimaya@f-me(ブレンダ)

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