マリッジブルー、29歳 Vol.7

婿養子となる絶望感。女を口説くイージーゲームにハマる、男の末路

自分のレールが敷かれてしまった、奇妙な絶望感


彼女とは、大学時代からの付き合いでした。ミッション系の大学でお嬢様は多いけど、男はしょぼい。

女子校育ちで男性経験も少なかった彼女を口説くのは、実に容易かった。入学して3ヶ月くらいですぐ付き合い始めました。

彼女は実家が千駄ヶ谷にある、お嬢様でした。家に行けばクラシックが流れていて母親が紅茶を出してくれる、絵に描いたような裕福な家庭でした。

学生時代、何も考えずに付き合っていた僕は、時々遊びに行っては、彼女の母親が作ったクッキーやケーキを度々ご馳走になりました。


僕は背も高くないし、顔も決してイケメンではありません。でも、喋りには結構自信があって、彼女の両親とはうまくやっていました。

就職してからも、僕たちの付き合いに変化はありませんでした。

他の女の子と飲みに行くことくらいはありましたけど、基本的には彼女一筋です。

初めに、婿養子の話が出たのは2、3年前でした。彼女の父親が一代で興した食品卸会社。やはり身内に継いで欲しいと。

こういうとき、女性は上手ですよね?

僕が警戒しないように彼女は小出しに「婿養子に来てくれないか」という話をしていました。

でも、簡単に決意できるものじゃありません。

確かに僕は岐阜出身の次男坊で、兄が親の世話をしてくれるし、何の問題もない。でも、さすがに全て身を投げ打つ覚悟ですよね。社会人としても、男としても。

のらりくらりと交わしていたのですが、ついに彼女からの懇願に「NO」とは言えず、実家に招かれました。

そこで正式に彼女の両親に頭を下げられ、僕は決意したんです。

しかし、予想以上のプレッシャーが、そこにはありました。自分の人生のレールが敷かれてしまったという、奇妙な絶望感。

僕は、ふとゲームがしたくなりました。人生ゲームの“ゴール”が見えた途端、最後の寄り道をしてみたくなってんです。

そのときちょうど、可愛らしい新入社員が同じ部署に配属されたんです。

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