クリスマスや年末が近づき、ワクワクすることも多い季節が到来。そんな秋冬のデートで選びたいのは、やっぱりシャンパン。
この物語は、シャンパン上手な大人に学ぶ、理想のデートストーリー。
さらに後半には、彼らが口にしたシャンパン・スポットのリストを約40店舗ご紹介。行きたいお店を見つけて、是非今宵貴方の大好きな人とグラスを傾けてください…。
女性を喜ばせる、日常のなかの一杯のシャンパン
年内に彼氏ができたらいいな…、とぼんやり思っているうちに秋になって、今年もまた独りで冬を越すのかと半ば諦めていたところに現れたのが恵介さんだった。
知り合いが9月に主催した予約が取れない焼き肉屋の会で同じテーブルになり、食中のそつのない気配りに好印象をもっていたところ、翌週、FBでデートのお誘いが。
お互い職場に近い表参道で3度目の食事をした帰り、手も繋いでいないのに「つき合ってください」とさっそく告白をされた。恋愛する時間もないほど仕事に熱中して、気付けばあっという間に40歳だったそうで、「もう駆け引きをする歳でも気分でもなくて」とちょっと照れながら話す姿は、なんだか少し可愛くもあった。
「返事はすぐにじゃなくてもいいから…」と言われたけれど、考える時間なんて必要なかった。すべてを包み込んでくれそうな優しい笑顔を見たときから、彼の事を好きになっていたから。ちょっといいなとか、条件がいいとかそういうレベルではなくて、彼だと思った。その場でOKと伝え、いまに至る。
嬉しいのが、これまでお食事会などで会った男性たちよりも、格段に食への経験が深いことだ。とくにお酒でのもてなし方がスマート。初めに私が「シャンパンが好き」と言ってからは、家でもお店でも一杯目にはシャンパンを提案してくれる。
これまで好きなお酒を聞かれてシャンパンだと答えると、なかにはB級グルメだけ好きで「セレブな感じだね〜」とひやかすような男の人もいて、その時点で、もうないな、と。見聞が狭そうというか、好奇心が低いのかなと思ってしまう。
私にとってのシャンパンはただのお酒じゃない。芸術品ともいえる品質のシャンパンを飲む「体験」こそ、私に充実をもたらしてくれる。それに、いまの時代グラスで飲めるお店はたくさんあるし、満足度を考えたら自分にとってはいいお金の使い方だ。
その点、恵介さんはごく当たり前のように一緒にシャンパンを飲んでくれるから楽だ。メーカーに務める普通のビジネスマンで、生活がやたら贅沢なわけじゃないけど、人を贅沢な気持ちにさせるのが上手い。たまのグラスシャンパンがその典型だ。
敷居が高すぎず、でも美味しいシャンパンをよく知っている。最近のヒットでいうと『ペリエ ジュエ グラン ブリュット』。アペはもちろん、食中酒としてもいける万能選手だなと、飲んでそのクオリティの高さに感心した。
「来週末、一泊二日で温泉にでも行こうか?」
ある日、寝る前の電話でそう言われて、久しぶりに彼氏ができた幸せをかみしめた。秋が終わったら春がきてしまった…。
「次に会ったあったときに相談しよう」
そうして金曜の20時、いつもの表参道の店で待ち合わせをすることとなった。