バーキンの秘密 Vol.1

この世で一番偉いのは、バーキンを売るエルメスの店員?150万のバッグに女が熱狂するワケ

隠されたバーキン...開かずの扉を開ける鍵を持つのは店員だけ。


「常連と思しき女性が、店員に招かれて奥の個室に移動していました。小さい声で店員が「30サイズならあります。」と囁いているのも聞こえてきました。

その時はっきりとわかりました。見えないだけで、私たちの前には出されないだけで、この店のどこかにバーキンはあるのです。あの時の悔しさといったら...その時に私は、絶対に“そっち側”に立ってやるって思ったんです。

しばらくして、正面突破じゃ、絶対に入手できないことがだんだん実感としてわかってきて。裏口へと作戦を切り替えたんです。」


そう言って笑うユリアさんが次にとった行動はこうだ。


多額の金を落とす上客にしか売らないという噂を聞いたユリアさんはエルメスにお金を落とし、顧客リストの上位に食い込むことにした。各店舗には表側には見えないが、必ずバーキンがあると踏んだユリアさんは、「同じ店舗、同じ店員から買う」ことを心がけたという。

「私たちには見えないだけで、店舗には、隠されたバーキンがあるんです。だったら、その開かずの扉を開ける鍵を持った門番と仲良くなるしかない」


そう決めたユリアさんは、1年間、とにかくことあるごとに特定店舗のエルメスに通い、いつも何かしら買い求めたという。

外資系コンサルタントという職業柄、経済力はある彼女がエルメスに落とした合計金額は、200万円を優に超え、オレンジボックスは家のクローゼットをどんどん占拠していった。 買うものはエルメスならなんでもいい。ルールは一つ。決まって同じ店舗、同じ店員から買うことだけ。

1年間通い詰めた頃、馴染みの店員がこうささやいたという。

「ユリアさん、欲しいお品物はありますか?」

開けゴマ...!ついに開いたバーキンへの扉


「無理かもしれないと思いながら、正直に、バーキンが欲しい、と言いました。すると、その店員は、ちょっとお待ちくださいね。と言って奥へ下がっていきました。しばらくして戻ってきて、◯◯色ならありますよ。って。」

苦節1年、落とした総額は200万以上...ようやく、バーキンへの扉を開けたユリアさんは、奥の部屋に招かれた。 店員から抱きかかえられたオレンジボックスは、まるで、待ちに待った我が子に対面するときのようだったという。

「手袋をはめた店員が、大きなオレンジボックスを抱きかかえるように持ってきました。私はまだ子供はいませんが、念願の子供を授かって、看護師さんから「あなたの赤ちゃんですよ」って初めて我が子を抱くときってこんな感じなのかなって。笑」

ファーストバーキンを手に入れてから6年。

一度ドアがあいてしまえば、あとは芋づる式だそうで、現在、ユリアさんのクローゼットには、おびただしい数のオレンジボックスと、合計5個ものバーキンとケリーが収められている。


どうしても手に入れたかったバーキンをたくさん手に入れることができるようになったユリアさん。今の気持ちを聞いてみた。

「最初は一個は欲しい!って思っていたのに、どんどん欲が出てきて...バーキンには、素材によって値段も価格も雲泥の差です。この前すれ違った女性が持っていたクロコダイルのバーキンがすごく素敵で...きっと数百万すると思うんですけど、近いうちに絶対手に入れようと思ってます。」


ユリアさんの欲深さは、とどまる所を知らない。


▶︎NEXT:3月11日日曜日更新予定
ママが私にくれたのは19歳のとき。エルメス店員も驚いた、慶応幼稚舎卒女性が持つバッグ

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