2016.08.07
人形町ライフ Vol.1配送伝票書くときに、『中央区』って書きたかっただけ。
「恵比寿は渋谷区だから、ちょっと若い感じがして。港区は一回住んだから、次は響きだけで『中央区』がいいなと思って。百貨店で買い物して、配送伝票書くときに、『中央区』って書きたいなって(笑)。馬鹿だなって思われますが、私、埼玉のかなり奥地の出身なんで、そういう思考が抜けないところがあって。」
銀座には住める物件は無いだろうと、彼女はまず、中央区の中で次にメジャーな日本橋で物件を探したが、すぐに断念した。
「メインの通りはお買いもの通りで生活臭はしないし、ちょっと奥行くとオフィスだらけだし。普通の人ってどこに住んでるだろう?って。日本橋三越のあたりで疲れちゃって、半蔵門線で渋谷の方に帰ろう、って思った時に、なんとなく、隣の『水天宮』って駅が目に入って」
スマホで住所を調べたところ、"中央区"と書いてあったため、念のためという思いで隣の駅に降り立ったそうだ。
改札を出た由紀子の視界にまず入ったのは、『キンコーズ』。またビジネス街に来てしまったのかと由紀子が辺りを見回した時、不思議な光景が広がっていたと言う。
「直観的に、「素敵だな」って。水天宮って、人形町と大きな通りで繋がってるんです。一方通行で広々していて、清潔で。両サイドは多くのお店で賑わっているんですが、建物が低いからか、空が広いんです。」
典型的な下町と言うには気品があり、かといってお高くとまっている感じもしないアットホーム感。“バランスがいい”と由紀子が表現する、東京ではあまり見かけない景色。
そして引っ越しのテーマが「中央区ならどこでもいい」から激変していく。
吸い寄せられるように、人形町に向かって歩き始めた由紀子は、街の人の表情が優しい雰囲気であることにも驚いたという。
「なんでだろうって思ったら、みんな水天宮に向かって歩いてるんです。水天宮って、安産・子授けの神様なんです。だから、妊婦さんとか、子供を授かりたいカップルがいっぱい列をなして、みんな幸せそうに歩いてるんです。自然とみんな優しい雰囲気になりますよね。すれ違う私とは随分違う感じでした(笑)」
ー ここから、『ちゃんとした人生』が始まるんだ。
由紀子はそう感じたという。20代も終わりを迎え、自分の価値観ではなく周りに流されつづけて過ごした東京狂奏曲は、もう続かないのだ、と。
そこから、「中央区」であればどこでもよかった由紀子の引っ越しのテーマが「人生設計」となり、本格的な物件探しが始まった。
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