エスケープ・ハワイ Vol.2

エスケープ・ハワイ:イルカに心を浄化され、平穏な心を取り戻したその先にあるもの

イルカと共にやって来た運命の人


その日、初めてイルカと泳ぐツアーに参加した美玲は間近で雄大なイルカと戯れ、汚れていた心が浄化されるような、ふっと心の鎖が取れたような感覚になったという。

これまでに感じたことも無いような、何とも言えない安心感と感動が美玲を包み込んだ。

自分らしさなど何もなく、ただ周囲と同調していれば安心だと思っていた東京生活。

これと言った自分の主張がある訳でもなく、どう見られるかが一番の判断基準。周りの目を常に気にしながら、狭い東京で 日々気を遣いながら生きていた。

ハワイに来る前に感じたこと、結局ハワイに来ても何も変わっていない自分が走馬灯のように流れ、自然と涙が溢れた。


「今までの自分を変えたい。」
「自分の幸福度を決めるのは自分次第。」

そう気がついたそうだ。

この日の経験を境に、美玲は変わった。せっかくだからとハワイにいられる時間を有効に過ごそうと決意し、遊学をやめて真剣に勉強を開始。夜の誘いも断れるようになり、人の目を気にしながら生きることをやめた。

肩の荷が降り、自然体で生きる楽しさを知った。

そしてイルカの海水を通して伝わって来る温もりと可愛さにすっかり魅了された美玲は、それから時間があると海へ潜るようになり、帰国予定の1ヶ月前に海の環境を守るボランティアに参加。

そのボランティアに参加していたのが、今の夫・悟だったと言う。


大富豪は突然に


「最初は全くこんな人だと思っていませんでした。ボロボロのTシャツに、汚ないハーフパンツの水着を着ていて。昔の私だったら話すこともせず、完全にスルーしていたと思います(笑)。」

そう笑う美玲だが、ハワイに来てイルカと遊ぶ度に心が浄化されていた美玲は、服装など気にせず悟と話をしながら海岸沿いのゴミ拾いを開始した。

何となく今度お茶でもしようという話になり、コーヒー位ならということでデートを約束。コーヒーデートをする内に、見栄を張らない悟に惹かれていったそうだ。


そしていざ付き合おうということになった時、美玲は初めて悟の本当の姿を知る。

「数日後に彼の家へ行くと、家族写真の隣には錚々たる面々と握手をしている御父様の写真が。最初は合成かな?と思いました(笑)。」

実は悟は代々続く大手製鉄会社の社長御子息で、ハワイには環境問題の勉強をしに来ていた。全くそんな風貌がなかった悟。正に晴天の霹靂だった 。

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