2016.07.03
もしも『東京カレンダー』がブルワリーを作ったら?なんて妄想を膨らませた本誌編集長、大槻。店紹介は得意だけど、店作りはもちろん素人である。そこで、「今一番人気のプロデューサーに聞いてしまおう!」と、人気ブルワリー『カミカツタップルーム』を手掛けた中村貞裕さんにその極意を聞いてきた。
Q.早速ですが、教えて下さい! お店ってどうやって作るんですか?
大槻:東京カレンダーもクラフトビールの波にあやかって、ブルワリーを立ち上げようかと。
中村:いいじゃないですか! いつ、どこで、予算は?
大槻:ま、待ってください。架空の店なんです。でもいつかは実店舗に、と目論んではいます。そこで現在はノープランな我々に、ぜひ成功経験の豊富な中村さんにお力添えをと。実際、どのように店を作られているんですか?
中村:まずは店名&業態を、そしてキャッチフレーズを決めるんです。もちろん物件&予算が前提にはありますけど、きっと雑誌作りに似ていると思いますよ。
大槻:なるほど、キャッチフレーズは、いわば見出しですね。
中村:はい、そこに肉付けをします。店を構成するコンテンツを列挙して、キャッチフレーズの内容を明確にします。これを僕らは勝手に〝店の因数分解〞と呼んでます。理系の人から突っ込みが入りそうですが(笑)。
コンテンツというのは、店の構成要素です。例えば、空間デザイナーやグラフィックデザイナー、ロゴ、BGM、制服、メニュー、さらにはデザートやシグネチャーメニュー、そして出店場所やメインターゲットにいたるまで、とにかく列挙。行き詰まるとありとあらゆるメディアの大特集から欄外の小さな記事まで、食のページを読み漁る。
パンケーキ特集とか、ペットと行けるカフェ特集とか、夜景が美しい店特集とか。そこで扱われている切り口が、コンテンツとなりうる。だから、一個でも多いほうがいいんです。
大槻:こ、濃い内容です。これだけで本が出せそうですね。
中村:次に行うのがキャスティング。これは、先ほど挙げたコンテンツに、具体的なメニュー名、デザイナー名、ブランド名などを当てはめていく作業。単純に人をアサインするだけではないんです。もちろん旬なキャスティングのほうが、メディアの企画に引っかかる可能性が高まります。だから、目利き力がとっても大事で、僕はどんなキャスティングだとパワーが出るのかを日々リサーチしています。
料理の鉄人であれば、料理一本で勝負可能ですが、プロデュース会社は、コンテンツとキャスティングが勝負。そうして全方位的に引っかかるフックを作っていく、そんなやり方です。
大槻:いやー。我々、コンテンツもキャスティングもない、つまりフックが今0個……。
中村:何を言ってるんですか。東京カレンダーというのが、一番のフックですよ!(笑)。
大槻:なんと!
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