2016.07.19
LAST Vol.16旧き佳きアメリカの理にかなった服。
「19世紀前半の感じでしょうか。その頃の服は、大量生産ではなく、至る所に今は使っていない機能があったんです。それは着る人の用途や必要に応じて、つけられていたディテールです」。
このように自身の着こなしの時代感を説明してくれたのは、レッド・ウィング・ジャパンの鈴木理也さん。取材時はその時代感を、『ハーバーサック』や『ジャンゴアトゥール』、『エンジニアード ガーメンツ』といったジャパンブランドの服で表現していた。
中でもノーカラーのシャツは、鈴木さんにとってマストなアイテム。
「そもそもカラーつきのシャツは、大量生産の背景があって広がったものだと思います。でも、私の仕事や生活においては、シャツの衿はいらない。冬でもジャケットの衿でこと足ります」。
論理的な説明の一方でこんなコメントも。
「結局男って面と向かっておしゃれできないから、機能的な理由をつけたがるんですよね」。
男のこだわりの真意は含羞、とは鋭い見識。
Michiya Suzuki
鈴木理也 レッド・ウィング・ジャパンのゼネラルマネージャーとして、正統なアメリカンブーツメーカーとしてのレッド・ウィングの魅力を日本に定着させた。近年は「ベックマン」ほかクラシックドレスラインの紹介に力を入れている。
一見普通に見えてフォルムが変わっている。
本誌ではすっかりおなじみの、『SUN/kakke』『YOUNG & OLSEN the DRYGOODS STORE』のデザイナー、尾崎雄飛さん。アメカジからクラシックまで、幅広い守備範囲で服づくり、そして自身の着こなしを構築する尾崎さんに、「ちょっとクラシックな夏の装い」を考えていただいた。
キーになっているのは独特なシルエットのギリーシューズと、変型2タック、太めのグレンプレイド・トラウザーズ。
「自分の着こなし的には、靴はひと通り遊んで、今はクラシックだけど面白いものに戻ってきた。回帰感がありますね」と尾崎さん。
クラシックなスタイルであるギリーは、イタリアの村瀬由香さんのブランド『レ・ユッカス』のもの。ウィメンズの木型でつくられたもので、ヒールの高さやシルエットがメンズのそれとはちょっと違っている。
その存在感がトラウザーズの太さと相まって、不思議なバランスを生みだしている。
「見た目は一見普通、でもフォルムが変わっているものに惹かれるんです」。
Yuhi Ozaki
尾崎雄飛 『SUN/kakke』『YOUNG & OLSEN theDRYGOODS STORE』デザイナー。アメカジやテーラード、ミリタリーなどを消化して生み出された独自の服づくりは評価が高い。ブランドやショップのディレクションも手がける。
西郡友典|写真
photographs_Tomonori Nishigori
text_Yukihiro Sugawara
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