LAST Vol.16

オシャレ賢者5人に聞いた、ちょいクラシックな夏の着こなし大特集!

トータル6本所有しているというニッカーズ。これは『エンジニアードガーメンツ』の春夏もの。ホーズはスコットランドのメーカーのもの。ベストは『ジャンゴアトゥール』、ノーカラーのシャツは『ハーバーサック』。特殊なアイテムは古着でもいいが、シャツは少し難しいので、こうした日本のブランドを選ぶことが多い。帽子はアメリカ・ユタの「TATTON BAIRD HATTERS」のもの。

旧き佳きアメリカの理にかなった服。

「19世紀前半の感じでしょうか。その頃の服は、大量生産ではなく、至る所に今は使っていない機能があったんです。それは着る人の用途や必要に応じて、つけられていたディテールです」。

このように自身の着こなしの時代感を説明してくれたのは、レッド・ウィング・ジャパンの鈴木理也さん。取材時はその時代感を、『ハーバーサック』や『ジャンゴアトゥール』、『エンジニアード ガーメンツ』といったジャパンブランドの服で表現していた。

中でもノーカラーのシャツは、鈴木さんにとってマストなアイテム。

靴はレッド・ウィングの「Girard Boot(ジラードブーツ)」。ポストマンシューズと同じ210番ラストに、エンボスをかけてシンガー社のPACミシンで縫われたモカステッチが、独特の存在感を生み出している。

「そもそもカラーつきのシャツは、大量生産の背景があって広がったものだと思います。でも、私の仕事や生活においては、シャツの衿はいらない。冬でもジャケットの衿でこと足ります」。

論理的な説明の一方でこんなコメントも。

「結局男って面と向かっておしゃれできないから、機能的な理由をつけたがるんですよね」。

男のこだわりの真意は含羞、とは鋭い見識。

Michiya Suzuki

Red Wing Japan General Manager

鈴木理也 レッド・ウィング・ジャパンのゼネラルマネージャーとして、正統なアメリカンブーツメーカーとしてのレッド・ウィングの魅力を日本に定着させた。近年は「ベックマン」ほかクラシックドレスラインの紹介に力を入れている。

トラウザーズは「ようやく陽の目をみました」という、とんちゃん通りの店で購入した古着。ジャケットとシャツは『SUN/kakke』のもので、シャツはタブカラーの半袖で、裾に生地の耳が入り、裾出しで着ると独特な存在感。ジャケットはパッチポケットの内部に両玉縁ポケットがある凝ったつくり。さらに袖裏は半袖シャツでも快適に着られるようにとシャツ生地が選ばれている。

一見普通に見えてフォルムが変わっている。

本誌ではすっかりおなじみの、『SUN/kakke』『YOUNG & OLSEN the DRYGOODS STORE』のデザイナー、尾崎雄飛さん。アメカジからクラシックまで、幅広い守備範囲で服づくり、そして自身の着こなしを構築する尾崎さんに、「ちょっとクラシックな夏の装い」を考えていただいた。

キーになっているのは独特なシルエットのギリーシューズと、変型2タック、太めのグレンプレイド・トラウザーズ。

「自分の着こなし的には、靴はひと通り遊んで、今はクラシックだけど面白いものに戻ってきた。回帰感がありますね」と尾崎さん。

『Le Yuccas(レ・ユッカス)』の、ウィメンズの木型を使ってつくられたギリーシューズ。細身だが丸みあるシルエットが、どこか緩い雰囲気をもたらしている。L’ÉCHOPPE別注。

クラシックなスタイルであるギリーは、イタリアの村瀬由香さんのブランド『レ・ユッカス』のもの。ウィメンズの木型でつくられたもので、ヒールの高さやシルエットがメンズのそれとはちょっと違っている。

その存在感がトラウザーズの太さと相まって、不思議なバランスを生みだしている。

「見た目は一見普通、でもフォルムが変わっているものに惹かれるんです」。

Yuhi Ozaki

SUN/kakke
YOUNG&OLSEN the DRYGOODS STORE
Designer

尾崎雄飛 『SUN/kakke』『YOUNG & OLSEN theDRYGOODS STORE』デザイナー。アメカジやテーラード、ミリタリーなどを消化して生み出された独自の服づくりは評価が高い。ブランドやショップのディレクションも手がける。

西郡友典|写真
photographs_Tomonori Nishigori
text_Yukihiro Sugawara

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