2016.03.05
90年代後半:空前の赤ワインブーム!羊肉も注目を浴びる
ワインにも大きな動きがあった。1998年の〝赤ワインブーム〟だ。赤ワインに含まれるポリフェノールがコレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化の予防に役立つとあって猫も杓子も、の反響ぶり。
この期を見計らうように、個性派ワインバーがオープン。中でも六本木『祥瑞』や銀座『オザミ デ ヴァン』、『ヴァン ピックル』などは、まさに肉とワインが売り。双方の仲を取りもつキューピッド的役割を果たしたといってもいいだろう。
『祥瑞』の系列店『グレープ・ガンボ』(閉店)の初代シェフが、あの肉の巨匠こと和知徹氏だったことを思えば、このあたりから徐々に肉とワインの関係がますます密になっていくのである。
00年代半ば:ジンギスカンブーム&スペインバルの大流行
牛肉受難時代が続く中、豚を凌ぐダークホースが登場。羊肉である。2005年は正にジンギスカンの当たり年。L−カルニチン効果で脂肪が燃焼するという触れ込みが女子のハートも捉え、店舗数は、前年の6倍以上に及ぶ200店に激増! ブームは1年ほどで終息するものの、フレンチやイタリアンでも仔羊を注文する客が増えるなど、羊肉への偏見を和らげた功績は大きい。
同時期、スペインバルが大流行。立ち飲みやバルも増殖し、さまざまなワインをグラスで手軽に飲めるようになっていく。
元々角打ちなる立ち飲み文化を持つ日本人、立ち飲みやバルの気楽なスタイルの方がむしろ性に合っていたのかもしれない。
今やバルは、本来の意味を外れ気軽にワインと食事を楽しめる店の代名詞として使われている感がある。こうして、肉とワインを気儘に楽しむシーンはほぼ整った。
00年代後半:熟成肉、赤身肉、Tボーンステーキの牛肉ブーム
そして、嵐のように過ぎさったジンギスカンブームの後、ジワジワと力をつけてきたのが牛肉。そう、いよいよ真打ちの登場だ。これは全くの私見だが、発端は焼肉店の希少部位ブームだと考えている。
ここで人々の関心が牛肉に向けられたところで登場したのが〝熟成肉〟。
2008年、田園調布『中勢以』の出現は、今に至る牛肉ブームの一つの起爆剤となった。まず、料理人たちの間で話題となり、食トレンドに敏感な客や食ライターの口の端に上るようになる。
平行して赤身肉にスポットが当たり始めた2012年、その象徴のように『肉山』がオープン。また、2003年の米国産牛肉の輸入緩和も追い風となり『ウルフギャング』を始めTボーンステーキが世を席捲したことは記憶に新しい。赤身、熟成、塊。これが現在の牛肉ブームを支える三種の神器だ。
片やワインもビオや国産ワインが充実、第7次ワインブームとまで言われるほどの活況を呈している。
ワインを先に選ばせ、それにあわせて肉料理を提供したりとペアリングの仕方も進化。同じ地域でとれたワインと肉をマリアージュさせる!?
そんな演出をする店も現れそうだ。
そして2010年代へ・・・
そして時代は2010年代へ。
近年の「外資系ステーキハウスの襲来」「熟成肉ブーム」「牧草牛・欧州牛ブーム」は記憶に新しいところだが、ユーザーもまた進化を遂げて、「自分なりの楽しみ方」の追求が始まっているのが現在。
ワインと肉、古くは紀元前から楽しまれてきたこのペアリングが、まだまだ進化を遂げ続けていることに感謝しながら、東京で繰り広げられる食文化を一層楽しんでいこうではないか。
※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。
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