2016.01.17
1年で最も寒いと言われている1月下旬。連日寒過ぎて引きこもりがちになんて人も多いのでは?
こんな真冬にはあつあつの鍋で暖を取りたいもの。でもせっかくなら美味しい鍋が食べたい。
そこで、本当に旨い鍋なら料理のプロに聞くのが一番!名店のシェフが認める鍋ともなれば、格段に旨いことは間違いなし。そんな、常にトップを走り続けるシェフ4人がおすすめする名物鍋をご紹介!
※こちらの店舗は移転し、現在『銀座 鼓門』に店名を変更しております。
掲載情報は移転前の情報です。
【『フェルミンチョ』作元慎哉シェフ推薦】
『器楽亭』の"ぶりしゃぶ鍋"
能登町沿岸の定置網で漁獲され、水揚げされる10kgオーバーの寒ぶり。「都内でこれだけのぶりを扱う店はそうないです」と同郷の『フェルミンチョ』作元さんが絶賛するのが久我山の銘酒場『器楽亭』。
金沢の市場から直送される寒ぶりはなんと仕入れ価格を請求時まで見ないというから、その品質への徹底ぶりは相当なもの。「とにかく一番いいぶりを届けて欲しい。それだけですよ」とは店主の浅倉鼓太郎氏。
もちろん価格もピカイチだが、宇出津周辺の寒ぶりを一度味わったら、ほかのぶりでは満足できなくなるという。
そんなぶりを余すところ無く味わえるのが「ぶりしゃぶ鍋」。推薦者の作元シェフも「寒ぶりの醍醐味を味わうならしゃぶしゃぶがおすすめ。力強いぶりの味が際立ちます」と言うように、冬にぶりを食べるなら断然しゃぶしゃぶが旨い。
肉厚のぶり自体をしっかり熟成させ、10年熟成のイカの魚醤・いしりを使ったスープにくゆらすだけ。すると、すっきりとしたぶりの風味は際立ち、甘みにも似た寒ぶりだけが蓄える脂が深い余韻となり口福をもたらせてくれるのだ。
シャキシャキの野菜をくるみ、胡麻と卵黄の特製ダレ、もしくはいしり入りポン酢をつけて味わう。これを至福と言わずして、何が至福か。まず一度体験されたし!
【『ヌキテパ』田辺年男シェフ推薦】
『いせ源』の"あんこう鍋"
門外不出。歴代の店主のみがその調合を知るという割下は、驚くほどすっきりとした味わいの後に、優しい甘みがじんわりと舌に馴染んだ。あんこう鍋といえば、茨城県などでは味噌ベースが主流だが、創業1830年、淡路町『いせ源』のそれはシンプルな醤油ベース。
昆布と鰹の出汁をゆっくりと寝かせることで、丸みを帯びたスープが穏やかに胃の腑に染みわたる。さらにこの醤油ベースの割り下を実現するための肝心な仕事が、あんこうの下処理。
約半日を費やすこの手間ひまにより、一切臭みのないあんこうが、シンプルな醤油ベースの割下に、自然と馴染むのだという。口に含むとねっとりとした食感と濃厚なコクが舌に絡むあん肝。ぶりぶりのゼラチン質が嬉しいほほ肉。
淡白な風味を宿す白身など、あんこうの7つ道具と呼ばれる部位は、それぞれがまったく異なる味わいで次々と舌を喜ばせる。
「茨城は味噌ベースだけどここは醤油。そこは違うけど、あんこうの処理は流石だね。きちんと旨みを引き出している」『ヌキテパ』田辺年男シェフも古くから通う老舗の仕事。茨城が恋しい時、シェフはこの鍋をつつく。
この記事で紹介したお店
いせ源
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