「嗚呼、これぞフグ」と吐息を漏らすぷりっぷりの天然ふぐ鍋3選

ふぐちり鍋。ぷるぷる身が美しく澄んだ出汁に浮かぶ

目にも鮮やかなふぐちり鍋&ふぐ刺し
『下関 春帆楼』

永田町

「下関でふぐは家庭料理」、職人ならではの技術を見せねば、お金はいただけない。永田町にある『下関春帆楼東京店』ふぐ調理長の新徳洋己氏は淡々と言う。

下関の本店は豊臣秀吉以来ご禁制だったふぐを伊藤博文に供し、結果明治21年にふぐ料理公許第一号を拝命した歴史ある店。新徳氏は32歳で修業先の大阪から帰郷、42歳で本店料理長に就任し10年務めた。ふぐ職人として下関で28年。本場の味を伝える使命を担い、東京の厨房に立つ。

ふぐ薄造り(写真は3人前)。外周はあくまで薄く皿の絵を見せ、中心に向かう毎に立ち上がり、菊花の様相となる

「下関と東京の差ですか? やはりふぐ刺しの盛り方、美しさではないでしょうか」 長く懐石料理に携わった新徳氏。春帆楼入店後しばらくはふぐに携わらなかったが、いざ向き合えば扱いの難しさの壁にぶち当たる。

以来10年以上、ひたすらにふぐを捌き、刺身を引き続けた。はえ縄漁で揚がった天然ふぐなら、捌いた後、数日寝かす。身の適正な水分量、弾力を判定するのは長年培われた指先の感覚でのみ。引いた身を皿に花状に並べる菊盛りは、新徳氏がふぐに対峙し10数年経ってようやく完成した。

かつて「美し過ぎて手が付けられない」とお客に叱られたと、照れたように笑う新徳氏。南はえどまり風泊市場に揚がる素材の良さは語る必要すらない。職人の技こそスペシャリテなのだ。

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